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RPA開発・運用人材はどこから集める? 企業の実態調査

RPAプロジェクトにおいて、RPAを開発、運用する人材の調達は大きな課題になる。各社の状況が調査によって明らかになった。

» 2023年01月25日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 RPA導入の障壁として最も多く上がるのが「開発・運用人材の調達」だ。特に、近年は全社的なプロセス変革の一手段としてRPAを導入する企業も多いが、長期的なプロジェクトを遂行するにはRPAのロボットを開発・運用する人材を調達することが不可欠だ。企業では、どのような人材を集めているのだろうか。

 RPA活用の現在地を探るために、キーマンズネットは「業務自動化に関する意識調査2022年」と題してアンケート調査を実施した(期間:2022年9月14日〜10月17日、有効回答数:518件)。本連載は、全7回にわたってアンケート調査から得られた結果を基に活用状況と課題、発生したトラブルなどを紹介する。なお、グラフで使用している数値は、丸め誤差によって合計が100%にならない場合がある。

 第7回となる本稿は、「RPAの開発・運用人財」について紹介する。

万年不足? RPAを開発、運用する人材

 まず、RPAを開発する人材の数について聞いた。「0〜5人」(62.6%)が最も多く、「6〜10」(15.0%)、「11〜30」(8.3%)、「31〜99人」(7.3%)、「100人以上」(6.8%)が続いた。従業員規模別に集計しても、「0〜5人」が最も多い回答を集めている。

 5001人以上の企業でも、「0〜5人」(28.0%)が最も多く、「11〜30人」(20.0%)、「31〜99人」(18.0%)、「100人以上」(18.0%)、「6〜10人」(16.0%)と続くことから、開発人材は企業によって差があることが見えくる(図1)。

図1 RPA開発人材の数(企業規模別、N=206)

 企業によって人数に開きがあることは幾つかの理由が考えられる。RPAは部分導入から初めて、徐々に全社展開することが定石だが、プロジェクトのフェーズによって必要な開発人材も変わる。さらにプロジェクトの規模が大きくなると、企業によっては開発をSIerに外注するため、社内の開発人材がいない、あるいは少なくなる可能性がある。

 関連して、RPAを開発している人材の職種も聞いた。情報システム部門が65.0%と最も多く、ITエンジニア(25.2%)、「総務・事務・法務」(18.0%)が続いた(図2)。RPAはユーザー部門でも比較的扱いやすいツールとされているが、自動化対象業務の選定やシナリオ設計、開発には一定の知識が求められる。社内展開を見越すならば、社内で動くロボットの数や実行内容を把握したり、シナリオにセキュリティリスクがないかをチェックしたりする仕組みも必要だ。

 その他、業務プロセスの課題に対する解決策をRPAに限定せず、社内のシステム環境を考慮した最適解を探す広い視点も求められる。こうしたことから、社内のシステムを横ぐしで管理している情報システム部門が担当者としてアサインされやすいと考えられる。

図2 RPA開発人材の職種(N=206)

 一方、RPAを運用する人材の人数や職種はどのような状況なのか。人数については、開発人材と同様に「0〜5人」(58.7%)が最も多く、「6〜10人」(16.5%)、「11〜30人」(11.7%)、「31〜99人」(9.7%)、「100人以上」(3.4%)が続いた。5001人以上の企業でも、22.0%が0〜5人でRPAを運用していて、従業員規模にかかわらず企業によってはRPAを運用する人材が少人数である事実が確認できた(図3)。

図3 RPA運用人材の数(N=206)

 運用人材の職種については、「情報システム部門」(62.1%)が最も多く、「総務・事務・法務」(22.3%)、「ITエンジニア」(18.9)が続いた(図4)。2位に「総務・事務・法務」が上がったことから、バックオフィスでRPAを開発している人材がRPAを直接運用しているケースもあると考えられる。

図4 RPA運用人材の職種(N=206)

RPA勉強会や社内広報といった取り組みで人材を集める

 ここまで、従業員規模にかかわらず、企業によっては少人数でRPAを開発・運用していることが分かった。前述したように、RPAプロジェクトにおいてはRPAの開発や運用を担う人材の調達が大きな課題になる。企業によっては、社内で人材を育成するための勉強会を開催するといった取り組みを進めているようだ。

 RPAを現場に定着するために実施している、あるいはする予定の取り組みについて聞いたところ、「特にない」(34.5%)に続いて、「RPA開発、運用人材の育成のための社内勉強会」(29.1%)、「社内事例の広報活動」(12.6%)、「全社的な導入目的の周知」(9.7%)、「ロボットの標準化や自動化部品のポータル化」(7.3%)、「ロボットコンテストといった社内イベント」(1.5%)、従業員に対する学習費用の拠出」(1.0%)が続いた。

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