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ChatGPTを業務で使うのはアリかナシか? 最新ツールを取り巻く問題

ChatGPTはローンチ以来、多くの議論を呼んできた。「業務で生成AIを活用してもよいか」というテーマもその一つだ。各方面の反応や議論を紹介する。

» 2023年03月09日 08時00分 公開
[Ryan GoldenHR Dive]
HR Dive

 「ChatGPT」(注1)のようなテクノロジーによってAI(人工知能)ツールに対する一般の関心が高まっている。業務や専門的な話題に特化したソーシャルプラットフォーム「Fishbowl」のユーザー1万1793人を対象にした調査では、3分の1以上の労働者がAIツールを仕事関連のタスクに使用したことがあると回答した(注2)。

 2023年1月に、Fishbowlが約4500人の就労者を対象に実施した調査(調査期間:2023年1月4〜9日)では、生成型AIツールを業務で使用したと答えた労働者は27%だったが、最新の調査ではこの数字が増加した(注3)。

 しかし、最新の調査では、AIツールを使用していると答えた回答者の68%が、「上司に報告せずに使用していた」ことが判明した。

 Fishbowlは、1月2日から1月23日の間でChatGPTに言及した投稿やコメントが107%増加したと述べた。同社は、ユーザーが履歴書やカバーレターの作成、コピーライティング、コーディング、営業・マーケティングメールの下書きにChatGPTを使用していたと付け加えている。

ChatGPTを業務で使うのは是か非か? 業界の動向

 2022年11月にローンチされたChatGPTは、AIテクノロジーの一例として瞬く間に世界的に注目を浴びるようになった。

 OpenAIが公開したこのツールは、任意のユーザーが文章で何らかのコマンドを入力すると、ChatGPTのアルゴリズムによってテキストを生成する。ユーザーは既に多くのChatGPTの機能を実証していて、このAIテクノロジーを活用して、大学のエッセイ(注4)から脚本(注5)、歌(注6)に至るまで、あらゆるものを作成している。

 Fishbowlの調査が示すように、ChatGPTは合法的なビジネス用途にも使える可能性がある。Marketing Diveは、マーケティング担当者が、広告のコピーを作成するためにこのテクノロジーを利用できそうだと報じた(注7)。CIO Diveによれば、OpenAIはChatGPTのプレミアムバージョンを発表し、ユーザーがピーク時でも通常と同様にアクセスできたり、より速いレスポンスを受けられたりするメニューを用意した(注8)。

 ChatGPTはHRそのものを変える可能性を秘めている(注9)が、このツールは完璧には程遠いと複数の人が警告している。ソフトウェア開発者やエンジニアが利用するプログラム「Stack Overflow」は、チャットbotが生成する不正確な情報を理由に、ChatGPTの一時的な使用禁止を発表した(注10)。

 また、盗作やオリジナリティも潜在的な懸念事項になっている。教育機関では、学生による悪用の可能性を理由に、ChatGPTへのアクセスを禁止している(注11)。組織の反発により、OpenAIは、テキストの一部がAIによって開発されたかどうかを識別するための「Text Classifier」(注12)と呼ばれるツールを開発するに至った。ただし、このツールはまだ開発中であるとCIO Diveは報じている。

 米国雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission)を含む連邦規制当局は、特に雇用面でAIの差別の可能性について警告を発している(注13)。EEOCは最近、雇用におけるAIと自動化システムを、戦略的執行のテーマの優先分野の一つに挙げた(注14)。

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