Microsoft 365の各ツールにAI技術を導入したことで話題の「Microsoft 365 Copilot」。Excel、Word、PowerPointでの業務はどのように効率化されるのだろうか?
「ChatGPT」を始めとしたAI(人工知能)技術の業務利用が進んでいる。Microsoftは「Microsoft 365」にこの技術を掛け合わせた「Microsoft 365 Copilot」(以下、Copilot)のリリースを予定している。
Copilotを利用することで、「Microsoft Word」(以下、Word)や「Microsoft Excel」(以下、Excel)、「Microsoft PowerPoint」(以下、PowerPoint)などのMicrosoft 365の各アプリケーションを自然言語による指示(プロンプト)で操作できるようになる。日本マイクロソフトの近江岸 建太氏(パートナー事業本部 クラウドセールスマネジャー)によれば、ユーザーが作成したドキュメントやメール、会議、チャットなどのデータ(「Microsoft Graph」)と大規模言語モデル(LLM)、Microsoft 365の各アプリケーションが組み合わさることで、それが可能になったという。
資料作成やデータ分析など、多くの業務を効率化できるようだが、具体的にはどのようなことができるようになるのだろうか。
本稿は、JBCCが2023年5月11日に開催したセミナー「進化するMicrosoft 365を使いこなすには? 今こそ運用管理を点検せよ!〜AI、Copilot、LoopなどMicrosoft 365最新情報と管理者が押さえておくべきポイント〜」の内容を編集部で再構成した。
Excelでは、Copilotを使うことでデータの分析をAIに任せられる。
ある月の売り上げを分析する場合、売り上げデータの集計や、データから読み取れるポイントの要約、売り上げ増減の理由の分析などが可能だ。分析した結果を表やグラフで表すこともできる。「もし第1四半期の成長が今後も続けばどうなるか?」などの予測も可能だ。
AIが答えを導き出す過程がブラックボックスになることがしばしば問題視されるが、近江岸氏によると、Copilotを用いてデータを分析すると、どのようなデータを、どのようなロジックで分析したかも提示してくれるという。
WordでCopilotを利用することで、ChatGPTや「Bing AI」のようなチャット形式で、別の資料を引用してドキュメントを作成させたり、ドキュメントのデザインイメージを指示したりすることができる。
適切な指示を出すことで、「OneNote」などに保存された議事録を引用してクライアントへの提案書を作成したり、過去の資料のデザインをまねたりといったことも可能だ。他の資料を参照する場合は、参照元で使用されている画像も引用できる。生成した文章の要約やFAQの加筆などもしてくれるようだ。
ドキュメント作成の前段階である情報収集から作業者をサポートしてくれる、強力な機能となりそうだ。
PowerPointでCopilotを利用すると、プレゼンテーション資料をゼロから作成する必要がなくなるという。
Wordで作成した提案書を基にプレゼンテーションを作成したり、特定のテーマについて説明するスライドを足したりできる。スピーカーが読み上げる文章も自動で生成してくれる。
デザインをどこまで細かく指定できるのか気になるところだが、少なくとも資料のたたき台をつくるのには大いに役立ちそうだ。
Copilotは2023年5月現在、一部の企業でテスト利用されており、Microsoftは「今後数カ月のうちに提供を拡大」すると述べる。Copilotを利用するにはMicrosoft 365を利用している必要がある。プリインストール版のOfficeやボリュームライセンス、Software in CSPなどのユーザーはMicrosoft 365への移行を検討してほしい。
既にMicrosoft 365を利用しているユーザーは、Copilotによって現在の業務をどのように効率化できるのか、事前に計画しておくのもいいだろう。
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