資生堂、SAP HCMをSAP SuccessFactorsに統合して業務をシンプル化

SAPジャパンは、資生堂の資生堂、人事・給与管理システムをSAP SuccessFactorsに統合したと発表した。人事における複数領域をまとめるメリットとは。

[大島広嵩，キーマンズネット]

　SAPジャパンは2023年6月5日、資生堂の人事を支えるシステム基盤として、SAPの人事クラウド「SAP SuccessFactors」の機能の一つである人事・給与管理システムを導入したと発表した。日本の従業員2万4000人を対象に2023年3月に稼働開始している。

　システムの導入、構築については、SAPが人事管理領域、EYストラテジー・アンド・コンサルティング（以下、EYSC）が給与管理領域を担当した。

　資生堂は2019年からSAP SuccessFactorsの目標や評価、後継者管理などのタレントマネジメント機能を活用し、人事・給与管理では「SAP HCM」を利用していた。データや業務プロセスの標準化と統合基幹システムの構築、導入を通じて企業価値の最大化を目指す同社のビジネス変革プログラム「FOCUS」（First One Connected and Unified Shiseido）の一環として、国内の人事・給与管理システムもSAP SuccessFactorsへ移行した。

　今回の人事・給与管理システムの導入に当たり、SAP SuccessFactorsのモジュール間（タレントマネジメント、人事管理、給与計算）や、勤怠などの周辺人事システムともシームレスにデータ連携させ、SAP SuccessFactorsを中心に人事データの流れをシンプル化した。また、人事業務全般の業務フローの問題点を洗い出し、フローの最適化、業務標準化を図った。以上により、人事業務全般にかかる人件費やシステムの保守、運用にかかるコスト削減、および自動化、効率化を通じた従業員の生産性向上を実現する予定だ。

　新システムについて資生堂の芦田恵美子氏（副チーフピープルオフィサー）は以下のように述べた。

　「今回国内で稼働開始したSAP SuccessFactorsの人事・給与管理システムが、人事業務の最適化、標準化、生産性向上を促進させ、人事業務に関わる『ひと』の時間をより付加価値の高いタスク、データドリブンな人事戦略の立案等へのシフトに寄与することを期待しています」（芦田氏）

　また、SAPジャパンの鈴木洋史氏（代表取締役社長）は以下のようにコメントした。

　「今回の本番稼働が成功したことで、グローバル共通のタレントマネジメントに加えて国内の人事・給与管理までを、クラウドで提供するSAP SuccessFactorsで一元管理できる人事関連データの統合フローが完成しました。これにより、効率的で生産性の高い働き方や、多様な社員が能力を最大限に発揮して活躍することをご支援し、同社（資生堂）におけるデータドリブン経営およびビジネス変革プログラム『FOCUS』の実現に貢献できると確信しています」

　最後にEYSCの田口陽一氏（ピープル・アドバイザリー・サービス　パートナー）は以下のように述べた。

　「今回の稼働に伴い標準化された業務とデータが礎となり、資生堂の人事業務における戦略的なデータ活用が促進され、グローバル人材戦略の実現に資することを期待しています」