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佐川急便の入力業務を月間8400時間削減したAI-OCR、特徴と威力は?

SGシステムは、AI-OCRプラットフォームサービス「Biz-AI×OCR」の給与支払報告書の読み取りサービスが、2023年4月に読み取り実績100万枚、1億項目を達成したと発表した。

» 2023年06月23日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 SGホールディングスグループでIT統括事業を手掛けるSGシステムは、AI-OCRプラットフォームサービス「Biz-AI×OCR」の給与支払報告書の読み取りサービスが、2023年4月に読み取り実績100万枚、1億項目を達成したと発表した。

 Biz-AI×OCRは、SGシステムがフューチャーアーキテクトと共同で佐川急便のために開発したAI-OCRをベースにしている。佐川急便においては、配送伝票のサイズと重量の入力業務を自動化し、月間8400時間を短縮できた。SGシステムは、この経験を生かしてクラウド型のOCRプラットフォームサービスBiz-AI×OCRを2021年から提供している。

給報向けサービスで複数の帳票の読み取りも可能に

 Biz-AI×OCRの給報向けサービスは、事業者が従業員に支払った給与額などを市区町村へ報告する給報の読み取り向けに開発したもので、2021年から提供されている。給報はフォーマットが自治体ごとに異なり、複数の帳票で構成されるため、読み取る項目や場所を定義することが難しく電子化が困難だった。これを解決するために独自のAI-OCRエンジンとアルゴリズムを用いてBiz-AI×OCRの給報向けサービスを開発したという。

 2022年12月のBiz-AI×OCRのバージョンアップで、新しい仕分けエンジンを導入した結果、複数帳票の仕分けが可能になり、読み取り精度も向上。BPO事業者の人力による入力と比べて最大で約50%の作業効率向上が確認され、読み取り実績の増大に寄与したとしている。

 Biz-AI×OCRは、サービス開始から2年の間に、30社以上の企業に導入された。SGシステムは今後も、AI-OCRによる業務の省力化・効率化を推進し、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献するとしている。

Biz-AI×OCRの最新版の特徴

 仕分け機能の強化:新しい仕分けエンジンにより、「明細書」「総括表」「その他」の仕分けが可能になり、明細書の仕分け精度は最大99.98%まで向上した。

 非定型帳票の項目の自動特定性能の向上:スキャンノイズが入った帳票や低画質の帳票、台紙に貼られた帳票なども読み取り、99.1%以上の項目を自動特定できる。

 AI-OCRエンジンの強化:AIアルゴリズムの見直しにより、給報のOCR対象項目における読み取り精度は最大で99.9%台に向上した。

 読み取り結果の変換機能を強化:読み取り結果を自治体ごとに求められる仕様に変換可能であり、後続のエントリーシステムへのAI-OCR結果の取り込みを簡易化した。

 処理性能の向上:一般的なスペックのPCにアプリケーシションをインストールするだけで、1時間当たり約2000枚の高速読み取りが可能となった。専用オンプレミス製品の設置は不要で、同水準のスペックPCを複数台接続することで、台数に比例して処理性能が向上する。

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