ERP導入において実装の失敗は最悪の事態だ。だが、ここで紹介するステップを踏めば、プロジェクトリーダーはまだプロジェクトを救える可能性がある。復旧に役立つ方法とは。
ERP導入のプロジェクトチームは、導入失敗という最悪の事態をいかなる代償を払っても避けたい。仮に導入に失敗しても、チームはプロジェクトを救える可能性があるため、リーダーはプロジェクトを救う試みをすべきだ。
プロジェクトリーダーが実行すべきステップと、そのステップが有効な理由を解説する。
まずプロジェクトリーダーは、問題を解決するための計画を速やかに立てるべきだが、取りかかる前に失敗の全容を理解する必要がある。そうすれば、最も注意が必要な分野を優先して対処する計画を立てられる。
計画の策定は、プロジェクトに不満を述べる従業員によるプレッシャーからチームのメンバーを解放するのに役立つかもしれない。
実装パートナーとプロジェクトメンバーが計画よりプロジェクトに取り組む期間が長引くことによる費用がかかるため、追加の資金やリソースの追加が必要になる。
プロジェクトリーダーは、まずERP導入予算の残りを見直して追加資金を推算すべきだ。ERP導入の失敗からの回復は差し迫った問題であるため、綿密な予算を組む時間はない。したがってリーダーは、追加費用や予算に間違いが含まれていないことの確認、予算が可能な範囲で綿密かどうかのチェックを他の人に依頼しよう。
プロジェクトチームが何回も予算を追加で請求すると印象が悪くなるため、リーダーは最初の時点で適切に予算を決めるべきだ。
まずプロジェクトリーダーは、従業員と実装チームがERPの問題を共有できるようにする必要がある。次に、チームが問題を評価して優先順位を付け、アップデートし、完了マークを付けられるよう、アプリケーションに問題を記録する方法を見つけるのがよい。そのようなアプリケーションの利用していない場合は、ITチケットシステムを使用したり、スプレッドシートを利用したりする選択肢もある。
チームは問題を改めて評価し、最も差し迫った問題を最優先で解決すべきだ。そうすることで、チームは最も多く苦情が寄せられている問題ではなく、最も重要な問題を最初に処理できる。例えば、プロジェクトチームはユーザービリティーの問題よりもセキュリティやデータ破損の問題を優先すべきだ。
従業員が重大な問題に巻き込まれている場合、プロジェクトチームは自分たちが問題を認識し、解決に取り組んでいることを知らせるべきだ。
復旧計画の策定で最も重要な点を従業員と共有するのもよい。簡単なダッシュボードを作成して従業員と共有し、チームのメンバーがそこに問題をリストアップして随時完了マークを入れれば、チームの進捗状況を確認できる。
ただし、ダッシュボードの作成にERPの問題を解決するための時間が必要以上に割かれるのであればこの作業を省略すべきだ。
チームは、数週間かけて大きな問題に対処するのではなく、定期的に本番環境のERPにパッチを当てるべきだ。従業員は、チームの段階的な進捗を見て、実装チームが問題に取り組んでいるという安心を覚えるだろう。
本番環境をアップデートする前に、プロジェクトリーダーは実行すべきステップをチームが省略していないことを保証すべきだ。例えば、本番環境のERPに変更を加える実装チームのメンバーは、まずドキュメントを更新して、チームが変更をテスト済みだと保証する必要がある。
ERP導入の失敗からの復旧には幹部の支援が必要になる。リーダーがERPプロジェクトについて話し合う時に、幹部が擁護者の役目を果たしたり、幹部に資金を承認してもらったりするかもしれない。幹部が従業員に、企業がERPの問題に対処するというメッセージを繰り返し伝えるのもよい。
プロジェクトチームは幹部に進捗状況を逐次報告すべきだが、彼らに求められない限り、グループは幹部と詳細情報を共有する必要はない。
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