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Microsoftが30年ぶりにPCキーボードをアップグレードする「Copilotキー」は役立つのか?

Microsoftは約30年ぶりにPCキーボードを大幅に変更すると発表した。キーボードに搭載される「Copilotキー」の全貌とは。

» 2024年02月19日 10時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]
CIO Dive

 Microsoftは2024年1月4日(現地時間、以下同)、「Windows PC」に「Copilotキー」を追加し、約30年ぶりにPCキーボードを大幅に変更すると発表した。

 ブログ記事によると(注1)、Copilotキーを押すことでユーザーはMicrosoftの生成AIアシスタントである「Microsoft Copilot」(以下、Copilot)にアクセスでき、画像作成からリサーチ、要約に至るまで、日常的な作業を支援する。

 2024年1月末から春にかけて、「Windows 11」を搭載したPCや今後発売される「Surface」にCopilotキーが搭載される予定だ。

Copilotキーは本当に役立つのか?

 Microsoftを含むベンダー各社は、企業がハードウェアの更新サイクルに入る中(注2)、AIに対応したPCの需要が出荷台数の持続的な減少の打破につながることを期待している。

 企業は、テレワークをサポートするためにデバイスを買いそろえた後(注3)、PCをアップグレードする準備ができているだろう。しかし、デバイスを調達する際に技術リーダーが考慮すべきことが1つ増えた。それはAI機能だ。

 Intelの2023年12月の発表によると、AIを活用してワークロードをサポートするように設計された同社の「Core Ultra」プロセッサは、今後2年間で1億以上のクライアントプロセッサ向けに出荷される計画であり、230以上のPCモデルに導入される見込みだという。

 Dell Technologiesは2023年5月にNvidiaと提携し(注4)、オンプレミスのサービスとワークステーションに生成AIを導入した。

 MicrosoftのCopilotキーは、以前に発表されたWindows 11のアップデートに続くものだ。Nvidiaとの提携により、PCユーザー向けの一連のAI機能がオペレーティングシステムに搭載される。

 リサーチ企業Gartnerの著名なバイスプレジデント・アナリストであるジェイソン・ウォン氏によると、キーボードの追加はハードウェアの観点からは画期的なものではないが、Windowsユーザーのインタラクションを再考するための出発点になるという。

 ウォン氏は、次のように述べた。

 「Windowsのオペレーティングシステムやアプリケーションにさらにフックが組み込まれ、アプリケーションにCopilotが組み込まれると、さらに便利になる。最初のうちは、ショートカットとして使うこと自体に実用性はあまりない」

 ウォン氏によると、このキーは一連の製品に生成AIを搭載することで、ユーザーの行動を変化させたいというMicrosoftの考えを示すものだという。

 企業向けのPCに対する生成AIのアップグレードの需要は今後数年で増加すると予想されている。市場分析企業のCanalysが発表した2023年9月の報告書では(注5)、2024年末までに、AIに対応したPCの出荷台数は増加し、世界的なPC出荷台数の4分の1以上を占めると予測されている。2027年までにAIに対応したPCの出荷台数は世界的なPC出荷台数の60%に達するようだ。

 Info-Tech Research Groupのアドバイザリープラクティスリードであるスコット・ビックリー氏によると、MicrosoftのCopilotキーはエンドユーザー体験を向上させる可能性を秘めているが、それだけでは顧客を引き込むには不十分だという。ビックリー氏は、電子メールで次のように述べた。

 「キーボードにキーを追加しても、私の組織が年間最低10万8000ドルの支出を決定する際の意思決定には影響を与えない。しかし、MicrosoftがCopilotに全力を注いでいることは確かであり、企業向けとコンシューマー向けの商用製品の多様化と変更が、時間の経過とともに進んでいくことが期待できる」

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