ソフトウェア開発者やプログラマーの間では、今どのような技術やツールが人気を集めていて、どのスキルにニーズがあるのか。開発者にとって気になるところだ。
ソフトウェア開発にAIが重用されるようになるなど、時代の移り変わりとともに技術トレンドも変化している。今、開発者たちはどの技術に注目しているのだろうか。
世界のソフトウェア開発者の興味、関心が分かるアンケートの集計結果が公開された。6万人を超える開発者を対象に実施した大規模な調査だ。質問項目はプログラミング言語や開発フレームワーク、開発環境、データベース、開発におけるAIの利用状況など多岐にわたる。その結果を一つ一つ見ていこう。
開発者のためのオンラインコミュニティーサイト「Stack Overflow」で年次ソフトウェア開発者調査「2024 Developer Survey」が実施され、2024年7月24日(現地時間)にその結果が公開された。調査時期は2024年5月で、185カ国約6万5000人の開発者が回答した。
回答人数も多ければ調査項目も非常に豊富で、68の設問に対して回答が寄せられた。回答者数が多かった国トップ10は、米国(18.9%)、ドイツ(8.4%)、インド(7.2%)、英国(5.5%)、ウクライナ(4.6%)、カナダ(3.6%)、フランス(3.6%)、ポーランド(2.6%)、オランダ(2.5%)、ブラジル(2.3%)の順で、日本はこの中には入っていない。
今回は、アンケートの回答結果を抜粋して幾つか紹介する。
まずは開発者が過去1年間で最も使用した、またはこれから使用したいと考えるプログラミング言語とスクリプト言語、マークアップ言語を問う設問では、「JavaScript」(62.3%)がトップで、「HTML/CSS」(52.9%)、「Python」(51%)、「SQL」(51%)、「TypeScript」(38.5%)が上位を占めた。なお同調査では、2013年と2014年にSQLがトップになって以来JavaScriptがトップを維持している。
人気のあるデータベースについては「PostgreSQL」(48.7%)が2年連続でトップとなった。次点は「MySQL」(40.3%)で、「SQLite」(33.1%)が第3位となった。なお、コーディングを学んでいる開発者はPostgreSQLよりもMySQLやSQLiteを利用している傾向がある。
クラウドプラットフォームのトップは「Amazon Web Services」(48%)と割と予想通りの結果になった。2位、3位は「Microsoft Azure」(27.8%)と「Google Cloud」(25.1%)が続き、この両者が前年よりもシェアを伸ばしているという結果になったようだ。
人気のあるフレームワークの第1位は「Node.js」(40.8%)。小差で「React」(39.5%)が続き、第3位の「jQuery」(21.4%)から大きく水をあける結果となった。人気のある開発環境は、「Visual Studio Code」(73.6%)が2位以下を大きく引き離して1位となった。この両調査については非常に大きな格差が見られたのが特徴的だ。
今回の調査では、2023年に引き続き開発者とAIに関する調査も実施された。開発プロセスでAIツールを使用しているかどうかを問う設問では、「使用している」(61.8%)と「利用していないが、近いうちに利用予定」(13.8%)を加えれば、回答者の76%が開発プロセスでAIツールを使用しているか、使用する予定という結果となった。2023年の調査では「使用している」は44%だったというから、AIツールを開発に使っている開発者は大きく増加したことになる。
一方で、AIに対する好感度が2023年の約77%から約72%に低下した他、「AIツールを信頼している」との回答は43%(前年比+1ポイント)にとどまった。また、79%の開発者がAIが誤情報の発信源となる可能性を倫理的懸念に挙げた。AIツールを活用した開発についてはいまだ不透明なところがあるようだ。
ソフトウェア開発者たちのさまざまな意見と意思が集約したこの調査結果。ソフトウェア開発者にとって、今のトレンドを確認する指標にもなるのではないだろうか。またソフトウェア開発に直接的に関わらないエンジニアにとっても、世間的な傾向をつかむ根拠になるだろう。興味があれば、元データを深掘りしていただきたい。
上司X: Stack Overflowが全世界的に実施したソフトウェア開発者アンケートの最新結果が発表された、という話だよ。
ブラックピット: 185カ国約6万5000人とはなかなかじゃないですか。
上司X: でも、日本人開発者はベスト10にも入ってないんだけどな。
ブラックピット: そうなんですね。
上司X: Stack Overflowを利用している日本人だって決して少なくはないと思うんだけどな。
ブラックピット: データを深掘りしてみたら、日本人の回答数は286人(0.5%)ですって。こりゃ少ないですね。
上司X: そうか………。しかしまあ、世界の事情や動向を知ることで自分の仕事の糧にはなることだろうよ。
ブラックピット: まあ、そうかもしれませんけどね。それはともかく、ソフトウェア開発の現場って意外にデータが偏りがちなんですね。特に開発環境とか。どうせ僕なんて純粋な開発畑の出身ではないですから、何がどうなっているのかはこのアンケートで知ることしかできないんですけど。
上司X: 少なくとも世界的にはこういう傾向があるということは知ることができるだろう? 最近ではAIがらみで開発チームがいろいろ難儀していると小耳に挟むこともある。俺たちにできることはまずないだろうけど、最新の事情を把握して、ひっそりと心から応援しようじゃないか。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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