設備資産管理(EAM)をおろそかにすると、設備コストの上昇や業務の遅延につながる。EAMソフトウェアについて詳しく学び、どのソフトウェアが自社に最適かを探ろう。
設備資産管理(EAM:Enterprise Asset Management)とは、企業の設備(資産)を追跡、評価、最適化するプロセスだ。企業の資産環境はますます複雑化しており、EAMソフトウェアは、設備管理の改善に役立つ。
EAMは、サプライチェーン管理プロセスの合理化や、ライフサイクルにわたる資産の最大活用など、さまざまな面で企業にメリットをもたらす。しかし、サプライチェーンリーダーは、自社が適切なEAMソフトウェアを使用していることを確認するために、社内の他の人々と連携しなければならない。
ここでは、幾つかの主要なEAMソフトウェアを紹介する。調査企業であるGartner、比較プラットフォームのCapterraおよびG2などの調査結果を基に、以下のEAMソフトウェアを選出した。製品はアルファベット順に記載されている。
コンピュータによる保守管理システム(CMMS)とEAMソフトウェアには違いがあるが、現在、一部のCMMSはオプションとして企業の資産管理ニーズを満たす機能セットを提供している。シナリオによっては、従来のEAMソフトウェアよりもCMMSの方が良い選択となる場合もある。
「Accruent Maintenance Connection」は、メンテナンスチームが資産の寿命を延ばすのに役立つCMMSだ。このソフトウェアには、モバイル機能やリアルタイムの追跡と監視によるマルチサイト資産管理や予防保全プログラム、作業スケジューリング、作業指示管理システムなどの機能が含まれている。
「Fiix」は、CMMSとEAMソフトウェアの境界線があいまいになっているもう1つの例だ。FiixはクラウドベースのCMMSで、さまざまな資産管理機能を提供している。このソフトウェアは、企業がサプライチェーン全体の資産管理を統合するのに役立つ。
Fiixの資産管理モジュールにより、ユーザーは各拠点の資産や在庫、購入、タスクを整理し、定期的にリアルタイムのアップデートを送信できる。ダッシュボードは、ユーザーが資産を追跡するのに役立つ。
FiixのAPIネットワークにより、企業はソフトウェアを他のさまざまなアプリケーションと接続できる。
「IBM Maximo Application Suite」は、企業向け資産管理製品を形成するアプリケーションの組み合わせだ。IBM Maximoを選択する利点の一つは、カスタマイズ性にある。例えば、現場作業員が携帯電話から資産データにアクセスできるようにする「Maximo Mobile」や、資産管理と統合されたさまざまな健康や安全、環境プロセスを持つ「Maximo Health Safety and Environment」など、必要に応じてアプリケーションを追加できる。
IBM Maximoを使用するもう一つの利点は、その長い歴史だ。製品は30年以上にわたる歴史を持つ。
EAMソフトウェアである「IFS Ultimo」は、迅速に使用できるプラットフォームだ。統一されたデータモデルにより、ユーザーは資産に関する最新情報をリアルタイムで受け取れる。その他の機能としては、保守とロジスティクスを監督するためのフリート管理ツールや資産ライフサイクル管理機能、モバイルデバイス用のリモート機器追跡技術などがある。
顧客は、さまざまな規模の企業向けに設計された3つのプランから自社に合ったものを選べる。これは市場では珍しい例だ。最も低いティアのプランには基本的な資産管理機能が含まれており、最も高いティアのプランには、大企業でのみ必要とされる可能性のある全てのIFS資産機能が含まれている。
「Limble」の資産保守管理ソフトウェアは、資産管理プロセスの自動化と合理化を支援する。このソフトウェアのダッシュボードは、ユーザーによる物理的資産の検索を簡素化する。ユーザーは資産に関連するパフォーマンスダッシュボードをカスタマイズできる。
Limbleは、柔軟性を提供しないシステムに投資せずにEAMソフトウェアの導入を始めたいと考えている中小企業にとって良い選択肢となる。
「MaintainX」はIoTに対応し、特に産業と現場の作業員向けに設計されている。モバイルアプリとして提供されており、現場の作業員が資産を追跡したり、作業指示書を作成したりできる。また、メーターやセンサーを使ってリアルタイムで機器を追跡もできる。
MaintainXは、企業の最大の目標が資産の稼働時間とダウンタイムの最適化である場合に特に適している。このソフトウェアは、資産ごとに障害の最後の時期、最後に保守が行われた時期、オンラインおよびオフラインの時間などのデータを履歴として保存する。
IBMと同様に、SAPも「SAP EAM」の傘下でEAMツールスイートを提供している。これらのEAMソフトウェアシステムには、故障率に基づく資産戦略の策定を可能にする「SAP Asset Performance Management」、クラウドベースのシステムを通じて資産運用の監視を可能にする「SAP S/4HANA Asset Management」、作業指示を管理し、オンラインおよびオフラインでモバイルベースの資産管理ソフトウェアを使用するための「SAP Service and Asset Manager」などの製品が含まれる。
SAP EAMは、より大きな製品エコシステムの中の一つのツールであるため、他のEAM製品よりも導入プロセスが複雑な可能性がある。しかし、すでにSAPのサプライチェーンソフトウェアやクラウドインフラを使用している企業にとっては、SAP EAMが適している可能性がある。
「UpKeep」は資産運用管理ソフトウェアで、資産管理や予防保全、施設管理、不動産管理、在庫管理に重点を置いた機能を備えている。UpKeepは、資産管理のさまざまな側面を1つのプラットフォームに統合することで、資産のライフサイクル管理を簡素化し、さまざまなアプリを切り替える場面を減らす。
UpKeepにはリアルタイムでの資産パフォーマンス監視などの機能があり、多くの異なる場所で働く従業員を抱える企業に適している。
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