「労務管理」とは従業員の採用や評価、育成、報酬、福利厚生、労働安全衛生などを適切に運営する企業活動のことで、これらの活動を支援するシステムが「労務管理システム」だ。これにより、組織運営の効率化と従業員満足度の向上を図る(続きはページの末尾へ)。
労務管理は従業員の入社から退職までの一連のプロセスを包括する。このプロセスには、雇用契約の管理や必要書類の作成・発送などが含まれる。近年では、これらの手続きを効率化し、ミスを減らすためにデジタルツールの導入が進んでいる。例えば、オンラインで完結する雇用契約システムや、従業員自身が必要情報を入力し、書類を生成できる自動化ツールなどがある。これらのツールによって労務管理の手間が大幅に削減され、人事部門の負担軽減につながる。
勤怠管理と給与計算は労務管理において特に重要な要素だ。デジタルツールの導入によって、従業員は自身の労働時間や休暇をリアルタイムで管理できるようになった。これにより、不正確な時間報告のリスクが減少し、透明性が向上する。
さらに、勤怠管理ツールと給与計算システムが連携することで給与計算の自動化が可能になり、人的ミスの削減と効率化を実現できる。給与明細をインターネット上で確認できる機能も従業員にとっては大きな利点であり、紙ベースの管理からの脱却が進んでいる。
年末調整は従業員と人事部門の双方にとって負担の大きい年次イベントだが、労務管理ツールを利用することで大幅に簡素化できる。従業員はオンラインで必要な情報を提出し、自動的に書類が作成される。人事部門はツールを通じて従業員の進捗状況をリアルタイムで把握でき、必要に応じて迅速に対応できる。
労務管理には、労働法規や社会情勢の変化に対応することが求められる。法令改正や新たな労働環境のニーズに対応するためには、変化に柔軟かつ迅速に対応できる労務管理体制が必要だ。
前述したように、今後はデジタルツールで効率的に管理する手法の導入が期待されるだろう。労務管理業務の一部を自動化・電子化することで、管理者の負担を軽減し、従業員とのコミュニケーションや戦略的な人事施策に注力することが可能となる。また、労働時間などを適切に把握することで、労働法規の順守や法改正への対応にもつながる。
従業員のメンタルヘルスへの配慮も今後の労務管理において重要な課題となる。メンタルヘルス対策を含む健康経営の推進や、ストレスチェックの実施、カウンセリング体制の整備などを通じて、従業員の心身の健康をサポートすることが必要だ。
まず注目すべきはシステムの機能性だ。入退社の手続きやWeb給与明細、年末調整、従業員情報管理、従業員データ分析など、企業のニーズに合った機能が全て含まれているか確認することが重要だ。また、変化に柔軟かつ迅速に対応できるシステムかどうかも評価すべきポイントになる。
システムの利便性とユーザビリティも製品選定において非常に重要だ。操作が直感的で分かりやすいインタフェースを持っているか、可能であれば実際に使用することになる現場の従業員に試用してもらうことが望ましい。
労務管理システムは企業の機密情報を扱うため、セキュリティは非常に重要だ。データの暗号化、不正アクセス対策、バックアップ体制の充実など、セキュリティ機能が十分に備わっているかどうかを確認する必要がある。サポート体制の充実度も重要な選定基準だ。問題発生時にベンダーが迅速に対応できるかどうかや導入支援サービスの有無も確認すべきだ。
コストパフォーマンスで製品を評価することも重要だ。初期導入費用だけでなく、ランニングコストや将来的に発生する追加費用も考慮して総合的に検討することが肝心だ。製品によって、労務管理に必要な機能を網羅的に備えているものもあれば、個別の機能を選んで導入できるものもある。既存のツールが持つ機能との重複も意識したい。
製品名 | ベンダー名 | 特徴 |
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COMPANY | Works Human Intelligence | 大企業向けのクラウド労務管理システム。人事管理や給与計算、勤怠管理などの機能を網羅的に提供する |
SmartHR | SmartHR | 入社から退社までのさまざまな業務におけるペーパーレス化や効率化を支援するクラウド労務管理システム。近年はタレントマネジメント機能も強化する |
freee人事労務 | freee | 中堅・中小企業向けのクラウド労務管理システム。搭載する機能に応じて複数のプランが用意されている |
奉行Edge 労務管理電子化クラウド | オービックビジネスコンサルタント | 労務管理業務のデジタル化に特化したツール。勤怠管理や給与計算など、他の「奉行」シリーズとの連携に強み |