5分で分かる最新キーワード解説
統合プロセッサの潜在能力を引き出すフレームワーク「HSA」とは?(2/3 ページ)
登場した「第4世代」APU
既にAMDは、「Kabini(カビーニ)」「Temash(テマシュ)」の開発コードネームで開発したAPUを「AMD Aシリーズ APU」および「AMD Eシリーズ APU」として発表し、2014年1月に次の第4世代のAPU「Kaveri(カヴェリ)」こと「Aシリーズ」を発表した。
インテルの統合プロセッサではGPUがダイ面積に占める割合は4割程度だが、Aシリーズでは図2に見るように、さらに広い面積をGPUに割く。x86 CPUコアは最大4基のクアッドコアである一方、同一ダイに構成されたGPUは64基のRadeonコアを1クラスタとしたCU(Compute Unit)が最大8基作り込まれるため、旧来のコアの数え方を踏襲すれば512コアを搭載したことになる。なお、AMDは同社のGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャのGPUコアとして8基と数えている。これからのGPUの重要性を意識した製品だ。
統合プロセッサで何が解決されるのか?
このような大規模マルチコア化したGPUとCPUが1つのプロセッサとして構成されることの意味は何だろうか。
もともとCPUは数値演算(シリアルプロセッシング)のために利用し、GPUはCPUからの命令に従ってグラフィックス処理だけを担当するものとして発展した。グラフィックス処理には高速化のために並列演算(パラレルプロセッシング)が用いられる。その能力を長年追求したGPUは並列処理に特化した進化を続け、今では1チップでテラフロップスオーダーの処理性能を持つようになった。
一方でCPUのクロックアップは頭打ちで、性能向上のためにGPUの並列処理能力を利用できないかという要望が強まった。そのためにはCPUとGPUとの間の情報交換ができるだけスムーズに行われる必要がある。統合プロセッサは、単一チップに両者を収めることで両者間の距離を究極まで縮め、高速なデータ転送を実現したわけだ。
残る課題は統合プロセッサの真価を引き出すアプリケーション開発
ところがハードウェアの進化にソフトウェアが追随できていないのが現状だ。CPU用とGPU用のプログラミングは大きく違い、それぞれ別に開発せざるを得ない。CPUとGPUが同一チップ上に載りながら、いわば家庭内別居のような状況なのだ。
そこで両者の間を取り持つ仕組みを作ろうとしたのが、2010年にAppleが提唱し、やがてオープン標準になった「OpenCL」や、独自路線を行くNVDIAの「CUDA」などだ。これらによりGPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)と呼ばれるGPUの並列処理能力を大規模数値演算に応用するのが容易になった。
とはいえ、従来のビジネス系システム開発を行う企業の技術者は、新技術を習得する時間もなければコストもなかなか捻出できない。そこでAMDは、従来のソフトウェア面からのアプローチに加えハードウェア面からのアプローチを加えた、もっと使いやすいヘテロジニアスな統合開発フレームワークを作ろうとしているわけだ。しかも、それをオープン標準にすることでアプリケーション開発のエコシステムを形成しようとしている。
おおまかな仕組みは図4に見るようなものだ。さまざまな高級言語を使う開発環境で作り出されたプログラムは「HSAランタイム」により中間言語である「HSAIL」(HSA Intermediate Language)に翻訳され、さらに「HSA Finalizer」によってGPU固有の命令セット(ISA)へと変換される。
開発言語は、例えばC++、C++ AMP、Objective C、OpenCL、OpenMP、Javaなど技術者が使い慣れたものを使えばよく、また利用するプロセッサが何であってもHSA対応である限りは、CPUとGPUをともに効率的に利用したアプリケーションが作れるというわけだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
5分でわかる最新キーワード解説
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「パスキーはワナだ、使うな」にネット騒然 プロが“待った”をかけるワケ:902nd Lap
-
2
「Gemini Notebook」で始める「AI×自動化」実践ガイド
-
3
今、IT資格を取るならどれ? ランキングに見る「急浮上の資格」と「不動の資格」
-
4
48年も愛された名作CPU「Z80」を、引退に追い込んだ“抗えない事情”
-
5
止まらない不正アクセス、広がる情報漏えい 大手企業・公的機関を襲った10事案
-
6
大田区、年1000時間の問い合わせを「AI電話」で削減できるか? 実証実験で見えた課題
-
7
「言い訳文化」から脱却のNECが足立区に伝授した生成AI活用術とは データ活用“逆算”の鉄則
-
8
Microsoftの“あのキャラ”がまさかの復活? 公式「X」乗っ取り事件の珍騒動:901st Lap
-
9
相次ぐ不正アクセス、でもセキュリティ訓練は「やりっぱなし」の悲惨な実態【企業調査】
-
10
生成AI導入に失敗する企業「6つの共通点」 情シスヘルプデスクの負担を減らす設計とは
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー