DXリベンジャーズ(第4回)

「現場のDXはRPAにおまかせ」ってほんと? 事例を基に“本質”を考える

RPAによって定型的なパソコン操作を自動化することで、さまざまな業務の作業時間を短縮できます。しかし、多くのRPAの成功事例にはDXの本質的な視点が欠けているように思います。「RPA導入」を失敗で終わらせないためにはどうしたらよいのでしょうか。

DXリベンジャーズ ~失敗で終わらせない、リベンジへの道~

世の中のDX活動が鈍化傾向にある今こそ、正面からDXに取り組み、ライバルに差をつけるチャンスです。一緒にDXリベンジャーズの道を進んでいきましょう。

 RPA(Robotic Process Automation)とは、定型的なパソコン操作をソフトウェアロボットによって自動化する技術です。具体的には、人によるソフトウェア操作を模倣し、あらかじめ設定された業務フローを自動実行するロボットを指します。RPAは2020年ころから普及が著しく、多くの企業が導入の成果を事例として公開しています。

 RPAの成長動向を知るためには、業界リーダーであるUiPathのIRが示唆的です。2019年に約2700社のクライアントを抱えていたUiPathは、2022年にはその数を約1万社にまで伸ばしました。2023年度は約1万800社と微増ですが、売上は892.3ミリオンドルから1058.6ミリオンドルへと19%の成長を達成しました。

 日本のRPA市場も拡大しており、2023年度の市場規模は1520億円になると予測されています。また、成功事例が増加したことから、2024年以降も市場が活気を保つと見られています。実際に、「業務時間を数千時間圧縮した」という成功事例が多く公開され、注目されています。

 確かにRPAによってさまざまな定形作業は自動化できますが、注意深く検討してから導入する必要があります。筆者が見る限り、多くのRPAの成功事例にはDXの本質的な視点が欠けているためです。

日本企業のRPA導入の現状:ファンケルの事例

 日本国内でRPA導入の成功事例として発表されているファンケルの記事を見てみましょう。RPAの事例としては典型的な、短縮が見込まれる年間の時間をアピールしているものです。

 以下は、土日祝日も含めて毎日実行している自動化の対象となった業務です。記事で省略されている部分は一部推測で補完しました。

  1. 複数の取引先が運用するWebサイト(予約システム)に予約データが入力される
  2. 1.の予約データが、ファンケルの基幹システムに「情報連携」される
  3. 担当者が基幹システムにログインして、2.のデータをExcelファイルとしてダウンロードする
  4. 担当者がExcelファイルを見て、店舗ごとExcel(200店舗)という別ファイルに加工・転記する
  5. 担当者がExcelファイルを見て、「商品別実績表」という別ファイルに加工・転記する(図解がないため推測)
  6. 担当者が既定のフォルダに保存する
  7. 別の担当者が「チェック」する
  8. 店舗従業員が商品予約伝票を出力する

 この中で、ステップ3~6がRPAにより自動化され、1日当たり約18.4時間の業務時間を短縮しています。この事例は業務のうち一部の短縮だけであり、本質的な課題に対する答えは見えていないように思えます。これは本件だけではなく多くの他の成功事例にも共通する問題です。

 今回は「RPA導入」を失敗で終わらせない、リベンジへの道をいっしょに考えていきましょう!

潜在的な課題がもたらすトラップと学び

 ビジネスデータの手動編集や人手によるチェックは、多くの企業で見られるワークフローです。特に「Microsoft Excel」の編集は一般的で、紙文化を継承してきた名残のように、現代のビジネスに根付いています。

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この記事の著者

西脇 学
西脇 学

大学卒業後は電源開発の情報システム部門およびグループ会社である開発計算センターにて、ホストコンピュータシステム、オープン系クライアント・サーバシステム、Webシステムの開発、BPRコンサルティング・ERP導入コンサルティングのプロジェクトに従事。2005年より、ケイビーエムジェイ(現、アピリッツ)にてWebサービスの企画導入コンサルティングを中心に様々なビジネスサイトの立ち上げに参画。特に当時同社が得意としていた人材サービスサイトはそのほとんどに参画するなど、導入・運用コンサルティング実績は多数に渡る。2014年からWebセグメント執行役員。2021年の同社上場に執行役員CDXO(最高DX責任者)として寄与。現在はDLDLab.(ディーエルディーラボ)を設立し、企業顧問として、有効でムダ無く自立発展できるDXを推進している。共著に『集客PRのためのソーシャルアプリ戦略』(秀和システム、2011年7月)がある。

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