Googleの自動化ツール「Workspace Studio」とは? 他ツールとの違いと活用法
AIに仕事を手伝わせるだけでなく、仕事そのものを自動化するにはどうすればいいのか。Google Workspace Studioを使った4つの実例から、日々の業務を効率化する具体的な方法を紹介する。
「Gmail」や「Google Meet」「Googleカレンダー」「Googleドキュメント」など、業務に必要なツールをバンドルした「Google Workspace」。最近は、メールの要約や文章作成、会議の議事録、スプレッドシートの分析など、普段の仕事にAI機能「Gemini」も使われるようになっている。
そこから一歩踏み込み、複数のアプリにまたがる業務を自動化するのが「Google Workspace Studio」(以下、Workspace Studio)だ。簡単に言うと、「業務効率化のための、ノーコード型の自動プロセス構築ツール」だ。これまでGoogleアプリ同士を連携させるには、「Google Apps Script」でコードを書くのが一般的だった。Workspace Studioでは、AIとの対話でその仕組みを組み立てられる。
では、Workspace Studioで仕事はどう変わるのか。G-genの横澤綜一氏(事業開発部 カスタマーサクセス課)と大津和幸氏(クラウドソリューション部 ソリューションアーキテクト課 課長)が未読メールの処理や問い合わせ対応、資料作成、データ分析という4つのデモを通して、Workspace Studioの使い方を説明した。
特に資料作成では、リサーチから構成づくり、スライド生成までを20分程度で完了できたという。Workspace StudioとGeminiを組み合わせると、日々の業務をどこまで自動化できるのか。
アプリをつないで自動化する「Workspace Studio」 他ツールとの違いとは?
一般的な業務自動化ツールでは、あらかじめ決めた条件と処理を組み合わせてワークフローを作る。一方、Workspace StudioはGeminiを組み込むことで、自然言語による指示からAIを含むフローを構築できる。単純なデータ転送だけでなく、メールの内容を読み取って要約したり、問い合わせ内容に応じて回答案を作ったりと、内容を判断する処理まで自動化できるのが特徴だ。
Workspace Studioでは、日本語で指示するだけでGmailやドライブ、スプレッドシートなどをまたいだ業務を自動化できる。自動化を始める条件を決める「スターター」と、その後の処理を指定する「ステップ」を組み合わせ、一連の業務フローを組み立てる仕組みだ。テンプレートを使えば、あらかじめ用意されたフローを選んで必要な項目を設定するだけで自動化を始められる。
利用には幾つかの条件がある。法人向けのGoogle Workspaceの対象エディションでは標準で提供されているが、環境によっては社内のIT管理者による有効化が必要だ。個人向けのGoogleアカウントでは、Google Workspace Experimentsへの参加が必要だ。
1日4時間削減も Workspace Studioの自動化ステップ
一日の仕事は、朝のメールチェックから始まる。受信トレイを開き、未読メールを一件ずつ確認し、重要なものを拾い出す。これだけで30分、場合によっては1時間かかることもある。このメールチェックの作業そのものをWorkspace Studioに任せられる。その設定は誰でもできるほどシンプルだ。
デモでやって見せたのは、毎朝8時に前日の未読メールをAIが要約し、その結果をGoogle Chatに届ける仕組みだ。テンプレートから「受信トレイの管理」→「1日の未読メールの概要を取得する」を選ぶと、必要な設定が組み込まれた編集画面が開く。
設定は3つのステップからなる。まず、平日の午前8時に実行するスケジュールを指定する。次に、対象期間を「昨日」として未読メールを要約する。最後に、その要約をGoogle Chatへ通知する。要約に使うプロンプトもあらかじめ用意されているため、各ステップの内容を確認するだけで設定できる。
あとは「オンにする」を押せば完了だ。翌朝になると、前日の未読メールがAIによって整理され、重要な内容がGoogle Chatに届く。これまでメールを一件ずつ開いて確認していた作業を、そのまま自動化できる。
問い合わせ対応の手間を大きく減らすAI連携
次に見せたのは、顧客からの問い合わせへの回答作成を自動化するデモだ。問い合わせが届くたびに内容を確認し、マニュアルを探して回答を書く。そんな作業を、Workspace StudioとGemini Notebookで置き換える。
今回はテンプレートを使わず、チャットボックスに「Googleフォームに回答が届いたら、Gemini Notebookを参照して回答を作成し、自分宛てにチャットで送る」と日本語で入力した。
作成ボタンを押すと、AIが指示を3つのステップに分解する。フォームに回答が届いたら、その内容をGemini Notebookに渡して回答案を生成し、Google Chatに通知する。指示した業務の流れが、そのまま自動化の形になった。あとは各ステップで、問い合わせフォームと参照するノートブックを指定するだけだ。
実際に顧客がWebサイトの問い合わせ窓口から質問を送ると、数分後にはGoogle Chatに回答案が届く。文面はそのままメールに使える形に整えられており、回答の根拠として、マニュアルの参照箇所へのリンクも付いている。
生成AIには、事実とは異なる内容をもっともらしく回答するハルシネーションのリスクがある。Gemini Notebookでは、指定した自社資料を基に回答を作成するため、こうしたリスクを抑えながら、回答案の作成まで自動化できるという。
資料作成の「準備からスライド化」までをAIに丸投げする
3つ目は、資料作成の一連の工程をGeminiで進めるデモだ。資料作成では、スライドを作る前に情報を集め、内容を整理し、何をどう伝えるかを考える作業がある。今回は、こうした準備からスライド作成までをGeminiに任せる。
まず、Deep Researchに調査内容を指示する。Geminiが調査の進め方を示し、ユーザーが承認するとレポートの作成が始まる。所要時間は十数分。比較表を含む情報が整理され、参照元も示される。インフォグラフィックに切り替えれば、調査結果を視覚的に確認することもできる。
次は、レポートをいきなりスライドに変換するのではなく、まず構成を考えさせる。各ページのタイトルや伝えたいメッセージ、それを補足する内容までGeminiが整理する。構成が固まったら、同じチャットからスライドの作成を指示する。すると、その構成に沿ったスライドが生成される。
仕上げもAIを使える。「スライドにエクスポート」でGoogleスライドに変換した後は、人が自由に編集できる。「スライドブラッシュアップ」を使えば、デザインや内容をさらに整えることも可能だ。AIに全てを任せるのではなく、人が最後に手を入れる余地も残されている。
「1日4時間」の余裕を生む、AIを使った業務効率化
最後は、Googleスプレッドシートでデータ分析から可視化までを進めるデモだ。題材は、化粧品会社の製品別売り上げやレビュー、アンケートをまとめたファイル。売り上げを分析するだけでなく、レビューの分類やダッシュボードの作成まで、同じファイル内で行う。
まず、画面右上のGeminiアイコンを開き、「分析して」と指示する。すると、売り上げデータを基にグラフが生成され、売れ筋の商品や傾向などの分析結果もテキストで示される。
レビューのような定性的なデータには「AI関数」を使う。セルに「=AI」で始まる関数を入力し、どのように分類するかをプロンプトで指定すると、レビューをポジティブ・ネガティブに分けるといった処理をGeminiが実行する。人手で一件ずつ確認していた作業も、まとめて処理できる。
さらに、「ビルド」機能を使えば、売り上げデータからダッシュボードまで自動で作成できる。横澤氏は「ダッシュボードの数値は元データを正確に反映している」と説明した。
4つのデモから見えてきたのは、AIを別の画面で使うのではなく、普段の仕事の流れに組み込むという使い方だ。メールの確認や問い合わせへの回答、資料作成、データ分析。日々の作業をGeminiが支援し、Workspace Studioがアプリをまたいで処理をつなぐ。
横澤氏は「時間では測れない日常の作業もWorkspace Studioで効率化でき、業務に応じて活用すれば1日4時間、もしくはそれ以上の時間削減も可能」と語った。AIに仕事を丸ごと任せるのではなく、人が担っていた細かな作業を一つずつ手放していく。その積み重ねが、大きな時間の余裕につながるという。
本稿は、「Google Cloud Next Tokyo」(主催:グーグル・クラウド・ジャパン)の講演「1日4時間の余裕を生む!? Google WorkspaceとGeminiの活用術」における内容を基に、編集部で再構成した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
イベントレポートアーカイブ
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
M365 Copilotを配っても「使われない」 でもAI活用が進んだ福島県庁の"逆張り"戦略
-
2
SOAPはRESTに負けたのか? 「古いAPI」を残すか見直すか
-
3
「Copilot、Word文書まとめて」で社内全滅? 勝手に増殖するAIウイルスで大騒ぎ:895th Lap
-
4
ソニー子会社、M365環境にあえて「Gemini」を導入 システムを競合させない工夫とは
-
5
取手市、生成AIを「使わなくてもいいよ」でまさかの定着成功 その以外な効果とは
-
6
「Gemini Notebook」で利用者10倍 シニア社員をAIヘビーユーザーにした首都高の考え
-
7
現役情シスに聞いた「忙しすぎる理由」 やりたいけど手が回らない仕事とは? 228人調査
-
8
ゼロから分かる「Claude」の教科書 ChatGPTと比べて分かった強みとは?
-
9
「AIコーディングで高速開発」が、なぜ企業の弱点に? 開発部門のAIとの付き合い方
-
10
「AIを入れたのに、仕事が変わらない」 企業が見落としている"使い方"
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー