AI導入でつまずく中小企業、「何を・誰が・どう変えるか」を丸ごと支援
生成AIを導入したくても、「どの業務から始めるか分からない」「AI人材がいない」と悩む中小企業は少なくない。ただツールを導入するだけでは業務は変わらない。
「AIを導入したいが、どの業務から始めればいいのか分からない」。中小企業のAI活用では、ツール選び以前に「何をAI化するのか」という段階でつまずくケースがある。さらに、AI活用を推進する人材も不足しており、ツールや研修を導入しても現場で使い続けられるとは限らない。
中小企業庁の「2026年版 中小企業白書」によると、省力化投資に取り組んだもののAIを活用していない事業者では、「活用する業務がイメージできていない」が63.4%、「活用を推進する人材が不足している」が40.0%だった。AIを使える環境を用意するだけでなく、対象業務の選定から実装、現場への定着までを誰が担うのかが課題になっている。
AIを使いたいが「何をAI化するか分からない」
AI活用を始める際、最初に問題になるのが「どの業務をAIに任せるのか」という判断だ。
例えば、問い合わせ対応や議事録作成、経理・総務・人事の定型業務などはAI化の候補になり得る。一方で、業務によってはAIを導入するコストや運用負荷の方が大きくなる可能性もある。自社の業務を洗い出し、効果が期待できる領域から優先順位を付ける必要がある。
中小企業庁の調査で「活用する業務がイメージできていない」が63.4%に上ったことは、AI導入の入口に課題があることを示している。さらに、AI活用を進めるための人材も不足している。「活用を推進する人材が不足している」と回答した事業者は40.0%だった。
ExKeyは、中小企業のAI活用における課題を、AI化できる業務を判断しにくいこと、AI人材の採用・育成が難しいこと、ツールや研修を導入しても現場で活用されないことの3点に整理する。
AI人材を「採用する」前に、現場に入ってもらう
AI人材が不足している企業にとって、専門人材を採用して社内に抱える方法は一つの選択肢だ。ただ、AIに関する知識に加えて、業務理解やシステム開発、AIエージェントの実装まで担える人材を確保するのは容易ではない。
こうした中、ExKeyは2026年9月、AIの専門人材が企業の現場に常駐するAI人材常駐サービス「Forgent」(フォージェント)の提供を開始した。AI化する業務の選定からAIエージェントの実装、現場への定着、継続的な改善までをトータルで支援する。
Forgentが取るのは、AI人材を必要な期間、企業の現場に入れるという方法だ。
導入前には無料診断を実施し、企業の業務をヒアリングする。AI化できる仕事や優先順位、実装イメージを診断書として整理し、どこからAI化するのかを明確にする。その後、効果とコストを踏まえて対象業務を絞り、まず1業務から着手する。契約後はAI人材が現場に入り、AIエージェントの実装だけでなく、従業員が実際に使える状態になるまで支援する。
AIを導入して終わるのではなく、「何をAI化するか」から「現場で使い続けられるか」までを同じ支援の中で扱う点が特徴だ。
「AIエージェントを作って終わり」にしない 月次で改善
AIエージェントを業務に組み込んでも、実際の現場では想定外のケースが発生する。業務フローが変わったり、利用者から改善要望が出たりすれば、AIエージェント側も見直す必要がある。
Forgentでは、導入後も月次で成果を可視化し、継続的に改善する。プロジェクトマネジャーが経営層と並走し、AI活用テーマの整理や導入ロードマップの策定、成果の可視化を担う。
AI導入を「システム開発のプロジェクト」として切り離すのではなく、日々の業務改善として継続することを狙う。
AI化の対象は「効率化」だけではない
対象業務は、問い合わせや電話の一次対応、議事録や提案書の自動作成、経理・総務・人事の定型業務、レポート作成、データ集計、社内ナレッジ検索、見積書や報告書の作成などだ。
さらに、Web広告やSEO、MEO、SNS、CRMなど、売り上げの創出に関わる業務も対象とする。マーケティング施策と事業KPIを連携させ、ROIを可視化する支援も行う。
AIによる省力化だけでなく、売り上げやマーケティングなどの成果につながる業務にもAIエージェントを組み込む考えだ。
自社のMEO業務で月400時間→125時間 実績を横展開
ExKey自身もAI活用による業務削減を進めている。
同社によると、自社のMEO運用ではAI実装前に月400時間かかっていた工数を、3カ月の実装期間を経て月125時間まで削減した。削減率は約68%だったという。
ただし、この数値はあくまで同社自身の業務における実績であり、Forgentを導入した企業で同じ削減効果を保証するものではない。同社は、この実践で得たノウハウを、導入企業の業務内容に応じて活用するとしている。
「AI人材がいない」から進まない 組織的なAI活用にも壁
AI活用の課題は、個別の業務だけにとどまらない。
総務省の「令和8年版 情報通信白書」では、生成AIによる業務変革について「組織的な取組はない」と回答した割合が、大企業の18.1%に対して中小企業では45.6%だった。AIツールを個人が試す段階から、会社として業務に組み込む段階へ移るには、推進役となる人材や導入する業務の選定、社内への展開などが必要になる。
つまり、「AIに詳しい社員がいない」という問題は、単にツールの操作方法を知る人が不足しているという話ではない。どの業務を変えるのか、どの程度までAIに任せるのか、導入効果をどう測るのかを決める人材も必要になる。
Forgentは、こうした役割をAI人材の常駐という形で補完する。
AI導入の壁は「ツール」から「実装する人」へ
AIツールの選択肢が増え、AIエージェントによって自律的に業務を処理できる範囲も広がっている。一方で、企業側には「何をAI化するのか」「誰が実装するのか」「導入後に誰が改善するのか」という別の課題が残る。
特に中小企業では、AI専門人材を採用・育成する余力が限られるケースもある。ツールを契約しただけでは業務は変わらず、研修を実施しただけでもAIが定着するとは限らない。
ExKeyは、こうした課題に対して、AI人材を企業の現場に常駐させることで、AI化する業務の選定から実装、定着、改善までを支援する。
料金は月額15万円(税別)から。初月のみ診断・初期設計費として5万円(税別)がかかる。導入前の無料診断から、診断書と実装プランの提示、契約・NDA締結、AI人材の常駐・実装、月次での定着・改善という流れを想定する。
対応エリアは一都三県を中心とし、オンラインも併用する。
AI活用が「取りあえずツールを試す」段階から、業務そのものを変える段階へ進む中、企業側に求められるのはAIツールの知識だけではない。自社の仕事を見極め、AIを組み込み、現場に定着させ、効果を測りながら改善する役割をどう確保するか。中小企業のAI導入では、「何を導入するか」だけでなく、「誰が実装し続けるか」が次の課題になりそうだ。
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