丸紅、経費精算の差し戻し削減に新対策 社員4000人の「マニュアル頼み」どう変える?
経費精算システムの使いにくさは、入力ミスや申請の差し戻しを招き、社員と承認者双方の負担につながる。丸紅は、従来のマニュアル整備だけでは解消できなかった課題に対して、どういう対策を講じたのか。
経費精算システムを導入しても、従業員が操作に迷い、入力ミスや申請の差し戻しが頻発する。こうした状況では、申請する社員だけでなく、内容を確認する承認者にも負担がかかる。マニュアルを整備し、問い合わせ窓口を設けても、システム自体が使いにくければ、根本的な解決にはつながりにくい。
総合商社の丸紅は、こうした経費精算業務の課題に対応するため、システムの画面上で操作を案内する「テックタッチ」を導入した。約4000人の従業員が利用する経費精算システムに入力補助を実装し、申請業務の効率化や差し戻し件数の削減を目指す。
マニュアル整備でも消えない経費精算の悩み
丸紅では、出張費や交際費などの精算に経費精算システムを利用している。だが、画面遷移が複雑で、入力項目も分かりにくく、申請時に社内規定やマニュアルを確認しなければならない。従業員からも、システムの使いにくさを指摘する声が寄せられていたという。
同社はこれまで、“早分かりガイド”の作成や、ポータルサイトへの関連文書の集約、マニュアルへの導線整備などを進めてきた。それでも、システムの操作に迷う従業員が既定やマニュアルを探したり、不明点を問い合わせたりする負担は解消できなかった。また、入力不備による申請の差し戻しも課題となっていた。
経費精算の入力ミスは、申請者が修正すれば終わるとは限らない。申請内容を確認する承認者にも再確認や再処理が発生するため、差し戻しが増えるほど、双方の業務負荷が膨らむ。
マニュアルを充実させることは、必要な情報を提供する上で有効だ。一方、操作する画面とマニュアルが別々であれば、社員は必要な情報を探し、内容を理解し、入力画面に戻って作業しなければならない。こうした手間が、申請業務の効率化を妨げる要因になっていた。
操作方法を調べるのではなく、画面上で案内する
そこで丸紅が採用したのが、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の「テックタッチ」だ。
DAPは、既存の業務システムに操作ガイドや入力支援などを追加し、利用者がシステムを使いこなせるよう支援する仕組みだ。丸紅は、経費精算システムの画面上で入力箇所へ誘導したり、操作を支援・自動化したりすることで、従業員が迷わず申請できる環境を目指す。
従来のマニュアル整備が、操作方法を調べるための情報を提供する対策だとすれば、画面上の操作ガイドは、実際に入力する場面で必要な案内を提示する対策と言える。
従業員が既定やマニュアルを探す時間を減らせれば、申請業務を進めやすくなる。入力項目や社内規定に関する理解不足を抑えられれば、入力不備による差し戻しの削減にもつながるだろう。
テックタッチの採用に当たっては、経費精算システムでの導入実績や他社事例に加え、導入前のトライアルで操作性の向上、入力不備の減少、社内規定やマニュアルの参照時間の削減などが見込まれたことが決め手になったという。
導入の狙いは、約4000人の申請業務と承認業務の効率化
丸紅は今回の導入により、主に2つの効果を見込んでいる。
一つは、申請業務の利便性向上と効率化だ。入力箇所への誘導や操作の自動化によって、分かりにくい画面や複雑な入力項目による負担を軽減する。社内規定やマニュアルの参照時間、問い合わせ件数の削減も目指す。
もう一つは、差し戻し件数の削減だ。申請時に社内規定を誤解したり、必要な情報を正しく入力できなかったりすることを抑え、申請者と承認者の双方の負担を減らす狙いがある。
今回のポイントは、単にマニュアルを追加するのではなく、社員が実際に操作するシステムの画面上で支援することにある。利用者が操作方法を調べる手間を減らし、入力段階でミスを防ぐ仕組みを整えることで、申請から承認までの業務フロー全体の効率化を目指す。
なお、今回公表された内容は、導入によって期待される効果が中心であり、差し戻し件数や作業時間がどの程度減少したかという実績値は示されていない。今後、約4000人が利用する環境で、入力補助がどこまで定着し、実際の業務負荷の軽減につながるかが注目される。
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