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より安く、より手軽に、「クラウド型遠隔会議」のススメIT導入完全ガイド(4/4 ページ)

» 2015年02月16日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]
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 企業でクラウド型遠隔会議サービスを利用する際、押さえておきたい基本的なポイントを5つにまとめた。どれも当たり前の注意点かもしれないが、サービス選定時にはもう一度チェックすることをオススメしたい。

コスト、画質、利便性? 導入目的と基本姿勢を確認しよう

 ユーザー企業が遠隔会議ソリューションの利用を考えた時、まずはコストを重視するため、最初は音声を基本にSkypeなど無償で利用できるものが検討されるだろう。そこからもう少し利便性を高めたいというニーズになり、次のステップとしてクラウド型の遠隔会議や通常のWeb会議システムが検討される。

 さらには現在ビデオ会議システムを使っており、そことの連携も図りたいという場合には連携機能を提供するクラウドサービスやWeb会議システムが選択されることになる。言わずもがな、コストはかかるが質や利便性を考慮した最終型は、全てオンプレミスで専用のビデオ会議システムを構築するという形になろう。

 まずは自社が遠隔会議を利用するにあたり、どのステップにいるのかを明確にし、例えば無償ツールから徐々にステップアップしたい、でもコストは最小予算内に収めたいという段階にいるなら、コスト優先で品質はある程度我慢するという基本姿勢を明確にしておく必要がある。

利便性に直結も?クラウドサービスの利用環境を確認しよう

 クラウド型遠隔会議の利用に際しては、ユーザー企業側に十分なネットワーク帯域とセキュリティレベルが確保されていることが必要不可欠だ。サービスベンダー側でも、サービス利用に際して推奨する環境、具体的にはブラウザやOSとバージョン、マシンスペック、ネットワーク環境、さらにはカメラやマイクなどの情報を公開している。

 こうした基本情報を確認するとともに、クラウドサービスとはいえやはり通信品質は重視したいという場合には、通信方式もチェックした方がいい。利用者の利便性に関わる問題なので、入念にチェックをしたい。

 例えば、TCP/IPを利用するものは、パケットは必ず相手に届くが遅延は大きくなるという特徴があり、またUDPを利用するものは、遅延は少ないがパケットロスのリスクは大きくなるという特徴を持つ。遠隔会議を利用する目的に応じて、重視すべきテクノロジも変わるので注意が必要だ。

会議は「10分間の中断」が生死の境目、サポート体制を確認しよう

 あるベンダーによれば、遠隔会議が使われなくなる最大の要因は「会議につながらない」からだ。これまでの例から、会議の相手先とつながらなくなってから「10分間」でトラブルシューティングできるかどうかが、遠隔会議そのものの品質以上に重要な要件になっている。この時間内に復旧しなければ、遠隔会議システムへの信頼が下がり、その後使われなくなってしまう可能性が高い。

 単に24時間365日というサポート体制が提供されることだけに満足するのではなく、まずはベンダーへの問い合わせの電話がすぐにつながるかどうか、外国人オペレータによる片言の日本語ではなく、日本人オペレータにきちんとした日本語で丁寧に対応してもらえるかどうか、など細部まで確認しておく必要がある。

 とはいえ実際のサポート対応は運用ベースに乗らなければ、なかなか見えてこない部分だ。定性的な指標にはなるが、サポートに対する顧客満足度やベンダーのサービスロードマップなど、既存ユーザーの声やベンダーの姿勢そのものが大きな参考になるだろう。

もう一度、課金体系を確認しよう

 月額料金で利用できるといっても、クラウドサービスの課金体系はベンダーによってさまざまだ。利用ユーザー単位なのか、同時アクセスユーザー数単位なのか、あるいは行う会議数単位なのか。契約した「10アカウント」は1つの会議室でしか使えないのか、あるいは5人と5人に分けて、2つの会議室として利用できるのかといった柔軟性も確認したい。

 多くのベンダーでは、30日間無料トライアルなどの試用期間を設けているので、まずは会議の多い一部の部署で使ってみることで、少なくとも現時点ではどのような課金体系が自社に最適なのかが見えるだろう。

 ただし、遠隔会議の使い方は、時間の経過とともに変化する。サービスの利用開始時には「絶対に相手の映像が必須」といっていたユーザー企業が、毎回相手の顔を見て話す必要性を感じなくなり、そのうちにビデオ機能をオンにしなくなったというケースもあるという。それなら高いコストをかけて、画像品質にこだわる必要もない。

 クラウドサービスは利用開始時だけでなく、利用を停止することも簡単だ。サービス導入の半年後、あるいは1年後に利用ユーザーの声を聞くことで、使い方をブラッシュアップすると同時に、今どのようなサービスを選択すれば、さらにコストを下げられるかどうかも明らかになる。

ユーザビリティを確認しよう

 遠隔会議を実際に利用するエンドユーザーの使い勝手は非常に重要だ。上項でも触れたように、やはりトライアルで使ってみて、安定性や資料共有の使い勝手などを十分にチェックする必要がある。

 また、遠隔会議の利用頻度が高まり、現行の映像や音声の品質では満足できなくなったというケースも多い。あるいは現場が許容した品質レベルと、経営層が許容できる品質レベルが全く異なる場合もある。やはりサービス導入後には定期的に社内ヒアリングを行い、新たに求められる要件に対応する必要がある。

 現在ではクラウド型遠隔会議の利用場面が広がるにつれ、既存の専用ビデオ会議システムと連携させたいというニーズも高まっている。こうしたユーザーニーズに応えるために、クラウド型遠隔会議やWeb会議と、ビデオ会議との連携をサポートするベンダーもある。

互換性のなかったテレビ会議とクラウドWeb会議の接続をサポート 図6 互換性のなかったテレビ会議とクラウドWeb会議の接続をサポート(出典:VTVジャパン)
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