それでは実際の事例を基に、FAQサイト構築の成功ポイントについて見て行こう。
ある家電メーカーでは、以前からさまざまな分野の製品サポート情報に関するFAQサイトを提供していたが、お客さまが自身で問題を解決するのには、十分な内容とはいえなかった。また事業部門が商品ごとに作成していたFAQコンテンツを整理して、統一感のあるサイトに刷新したいという課題を抱えていた。
FAQシステムを導入することで、社内のFAQコンテンツ制作プロセスを統合し、またユーザーが簡単に探すことができ、その場で“自己解決”できるFAQサイトの構築を目指した。
運用開始後1年間で、FAQサイトへのアクセス数が21倍に拡大し、メールでの問い合わせ件数が約20%削減できた。また継続的にFAQコンテンツを強化したことで、ユーザーの自己解決率が、従来の5.9%から77.8%へと大幅に向上した。検索エンジンからのヒット率も約60%、検索サイトからのアクセス比率も54%に増加した。
FAQシステムを導入するだけでは、単にFAQコンテンツの作成業務が効率化できるだけで、真の目的である顧客満足度の向上にまでは結び付かない。最も重要なことは、継続的にFAQのクオリティを向上させ、ユーザーに自己解決してもらえる割合を高めることだ。
それが顧客満足度の向上につながり、問い合わせ件数の低減にもなるというWin-Winの結果をもたらすことになる。レポート機能を十分に活用して現状の課題を明らかにし、コンテンツ作成のPDCAサイクルを回していくことが肝要だ。
人工知能によって「アクセス数+ユーザーからの評価+時間(例えば、3カ月以内など)=旬なFAQ」という判断を行い、ただアクセス数が多いだけの古くて露出期間が長いコンテンツではなく、今ユーザーが求めているコンテンツを推奨上位に自動表示させることができる。さらに、これまで人手で行っていたFAQコンテンツの並べ替え作業を自動化することも可能だ。
推奨コンテンツを部品化し、自社サイト内でユーザーの疑問が起こりやすいページに埋め込むことで、そこから直接FAQサイトに誘導し、すぐに不明点を解決してもらえる環境を提供することができる(図4)。
ユーザー企業側で検索ワードの組み合わせロジックなどを埋め込むことで、ユーザーが外部の検索エンジンで複数ワードの入力で検索を行った際、検索結果の上位にFAQサイトのコンテンツを表示させることが可能になる。
検索トレンドやコンテンツヒット率などを把握することでFAQサイトの課題や効果を明確化することができ、さらにPDCAサイクルを回していくことで、FAQコンテンツの継続的なブラッシュアップとコンテンツの拡充を図っていくことが可能となる。
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