社員活用ガイドラインは、SNS投稿を行う従業員が守るべき項目をまとめるものだ。その内容は、業種や投稿担当者の職掌などに応じて異なる。
<例>コンビニのアルバイト向け
平易な言葉や外国語対応、モバイルデバイスの利用などへの言及が必要。
<例>新聞社記者など向け
記者個人の発信情報とメディアとの関係を規定する。
<例>会社役員、社員、取引先向け
インサイダー情報の取り扱いの注意を促す。
<例>医療機関
薬事法に抵触する内容や表現に注意を促す。
<例>プロスポーツ選手や審判
試合に関連する投稿を、試合前の数時間〜試合後のインタビュー後まで禁止する。
それぞれの利用者種別に応じた利用ルールがこのガイドラインに細則として盛り込まれることになる。図2に見るように、会社の考え方により、統制を強く意識する場合には「いいね!」クリックさえ禁止にすることもあれば、従業員の業務効率への寄与を重視する場合にはほとんどを従業員の判断に任せる緩い運用を図ることもある。これは事業内容や担当者の職掌に関わるので慎重にルールを策定するとともに、運用後にも必ず見直しの機会を設けて最適化を図る必要があろう。
なお、SNSでの投稿を外部サービス業者に委託するケースも多い。そのため委託先で守るべきルールを別途まとめている企業もある。
例えばインテルでは社員向けガイドラインとは別に、「ソーシャルメディア専門家向けガイドライン」を用意し、外部業者が同社に関する投稿を行うときには同社との関係を明らかにすること、製品についての言及は投稿者の体験によって分かることのみとすること、技術に関しては専門分野に限定して一人称で書くこと、ガイドラインを順守しない場合は契約関係や報酬を取り消すことがあること、間違いや語弊がある投稿には訂正を求めることなどを明文化している。
ただし、社員活用ガイドラインはそれを策定しただけでは機能しない。従業員に周知して順守させる活動が必要だ。例えばEラーニングツールを利用して、SNS利用の心構えや作法を学ぶコンテンツの履修を義務付けたり、ワークショップ、セミナーを開催するなど、さまざまな方法でガイドラインの浸透を図ることが望ましい。
また内容についても、経営層には「競合他社の動向」「自社の取組状況」なども含めたSNS概論、一般社員向けには「炎上事例や事件」「各SNSの特徴と楽しみ方および注意ポイント」などの内容を中心にするといった伝え方の工夫も必要になるだろう。
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