ただ、こうした次世代インターネット基盤が現実になるには、幾つかの課題がある。1つは規模の問題だ。「単純なアクセス集約やNFVによる付加価値機能は現実性が高いが、仮想ネットワークや仮想ルーターを実現するには、コンピューティングパワーの関係で時間がかかるかもしれない。それを低コストで提供できるかという問題もある」(外山氏)。
加えて同氏は、通信事業者ならではの観点として、顧客管理や課金、サービスオーダーといったバックヤードの部分も含めてサービスやインフラを考えていく必要があるとした。
さらに「それを実現するにはサービス開発担当者や運用者のソフトウェア習熟度がちょっと足りないかもしれない」という。
例えば、サービスオーダーのフォーマット1つとっても、形式が固定化され、オプション追加が容易に行えない一方で、工事情報や障害情報の共有は、構造化されていない非定型のメールでやりとりされている。この部分を効率化し、同氏の言うバックヤードも含めた講義のSDNの中で処理しやすい形にしていく必要があるという。インターネットやさまざまなサービスを提供するインフラにソフトウェアが組み込まれていく中で、「サービスを提供する人全体が、ソフトウェアに関する『たしなみ』を身につけていく必要があるのではないか」(同氏)
外山氏は、インターネットエクスチェンジという通信事業を提供している会社ならではの視点も付け加えた。
「SDNが進化すると、AS間の相互接続の形態も変わってくるだろう。現在の宛先ベースの経路制御ではなく、ポリシーに基づいてAS間の制御を行えるようになるかもしれない。さらには、ISP間のトラフィックに基づいて、費用の精算も実現できるかもしれない」(同氏)
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