エントリーサーバのOSに関しては、前述したような10万円未満の超低価格OSレス製品では当然ながらOSは自前で用意する必要がある。ある程度腕に自信のある担当者や管理者であればLinuxを選択し、CentOSやRed Hatといったサーバ対応のLinuxディストリビューションを用意してインストールすればいいだろう。そこまでする自信や時間的余裕のない担当者や管理者であれば、Windows Serverシリーズのいずれかを選択するのが無難だろう。
今回は基本的にBTO(CTO)で購入できるエントリーサーバについて取り上げるが、各製品とも購入、見積もり時にBTOでOSを選択できるようになっている。エントリーサーバ製品では、OSとして「Windows Server 2012 R2 Standard」「Windows Server 2012 R2 Essentials」「Windows Server 2012 R2 Foundation」を選択できることがほとんどだ。
上位サーバ向けのエディション「Datacenter」は選択肢に含まれていないことが多い。また「Windows Storage Server 2012 R2」をOSとして搭載する製品もあるが、その場合はエントリーサーバをファイルサーバとして使うケースに限定されることとなる。
各エディションの詳細についてはここでは割愛するが、注目すべきは「Windows Server 2012 R2 Essentials」だ。これは、ユーザー数25人以下の環境に特化されたサーバOSだ。CAL(Client Access License:サーバへのアクセス権)を追加購入する必要もなく、コストを抑えてエントリーサーバを導入できる。また各種設定はウィザードに従うだけで完了するので、これからエントリーサーバの導入を検討するような中小企業に適したOSといえるだろう。
冒頭でも触れたように、エントリーサーバを手掛けるベンダーの幾つかは、10万円未満の製品を提供している。10万円未満の製品であれば、「減価償却資産」ではなく「消耗品」として経費計上できることから、導入のハードルが低く、スピードが求められる現場での部門導入に適しているのではと考える人も多いかもしれない。
しかし各社へ取材にうかがったところ、10万円未満のエントリーサーバは確かに販売されているものの、CPUパワーが弱めであったり、搭載メモリ容量やストレージ容量が極小であったり、OSレスであったりと、購入した人がいくらかの手をかけて運用を開始する必要がある製品であるということだった。
また、OSの項で触れたようにOSに「Windows Storage Server 2012 R2」を採用してかなりの低価格を実現するエントリーサーバ製品も存在はするものの、上記のようにハードウェアスペックが低く、同時にNASとしての用途に限定されることとなる。
このようなエントリーサーバ製品で、NASとしての性能や信頼性を高めるためにHDDを追加したりRAID構成にしたりすると、やはり10万円を切ることは難しくなる。もちろん、手間をかけて10万円未満でエントリーサーバを導入しておトクにと考えている担当者や管理者もいることだろう。自社でサーバを必要としている内容を確認した上で、ベンダーに相談すれば、エントリークラスのサーバでも営業担当者がきちんとサポートしてくれるベンダーもあるので、相談してみるのも1つの手だ。
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