特にライセンス契約と実態との対応が見えにくくなるのが、IaaSやPaaSを含むサーバ仮想化環境だ。仮想サーバ用のソフトウェアライセンスには「サブキャパシティーライセンス」(物理サーバ1台ごとのライセンス契約である「フルキャパシティーライセンス」に対応する用語)が多く、CPUコア数やMIPS値に応じて課金されるものがある。
不用意にリソースを変更すると、すぐにライセンス違反が起きてしまい、追加課金される。気付かないまま長期間違反を続けると、後日ベンダーから巨額の請求をされることになる。それであれば、フルキャパシティーライセンスの方が、自由度が高くて良いということになるが、これはそもそも高額なので、コスト適正化の面ではジレンマだ。
また、障害時に備えた仮想サーバの物理サーバ間移動の設計などによってもライセンス違反は起きがちだ。図3はデータベースソフトのライセンスの例だが、プロセッサライセンスで契約している場合だと、CPU数の少ない物理サーバから多い物理サーバに仮想サーバを移動させる設定では、ライセンス数が余計に必要になってしまう。気付かずにそのまま運用しているとライセンス違反となる。
これだけでも煩雑なようだが、製品によってはユーザータイプを分類して詳細な条件をつけるというように、複雑きわまりない条件で課金される場合もある。また使用場所(国や地域、使用場所限定など)、使用期間、使用目的なども制限されていることがあるので、十分に注意しなければならない。
図3のOracleの場合はマルチコアプロセッサにそれぞれの製品別のコア係数(多くは0.5、SPA RC T3などは0.25、Itaniumなどは1.0)を組み入れた計算式(図中)によってライセンス数が導かれる。クラウドプラットフォームではAWS・EC2・S3・Azure上での使用を前提にしており、Standard Editionではインスタンスのサイズで価格が決まる。4バーチャルコア以下の場合は、1ソケットとしてカウントし、それより多くのバーチャルコアがある場合は、インスタンスのバーチャルコア数を4で割り、小数点以下を切り上げてカウントする。他にもNamed User Plusライセンスと言って使用するユーザー数によるライセンスもある(最小契約数の制限がある場合もあり)。
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