ラックに搭載できる機器に対してどれだけ給電できるかは、コストにも大きく影響してくるポイントになる。IDC Japanが2016年12月に発表した調査によれば、1999年以前に竣工(しゅんこう)したデータセンターの場合、1.35KVAが平均となっており、2000〜2009年竣工で2.62KVA、2010年以降の竣工で6.02KVAまで供給能力が向上している。事業者によっては、最大20KVAを提供可能なところもあり、今後新設するところでは最大30KVAとハイスペックな能力を提供するところも出てきている。
最近のサーバ群としては、多くのコアを持つラックサーバやカートリッジ型、ブレードサーバ型、そしてサーバとストレージが一体化したハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品など、ラック単位で多くの電力供給が必要な機器が多く登場しており、ラック当たりに求められる給電容量は増加傾向にあるといえる。
自社に必要な環境をハウジングによって構築する場合、コストを考えるうえでもできる限り集積度を高めていきたいところだろう。ラックを契約したものの、半分しか機器が搭載できずにスペースを無駄にしているというケースは決して少なくない。ラックあたりの給電容量はしっかり確認したいところだ。
ラック当たりにどれぐらいリソースを詰めるのかに影響するのが床耐荷重だ。一般的なオフィスの場合は、平方メートル当たり300〜500キロであるのに対し、データセンターの場合は1000キロ(1トン)を超えるものが多い。
最近は大型のサーバの自重だけでも1トンを超える機器も登場しており、床耐荷重の数値は大幅に伸びている。数年前のデータセンターで最大2トン、最新のものだと3トンまで耐えられるセンターも出てきているほどだ。
なお、サーバを収容するラックの最大搭載荷重も影響するため、ラック当たりの最大搭載荷重と床耐荷重双方で自社の要求に応えらえるかどうかの視点が重要になる。事業者によっては専用のラックを調達し、より多くの機器が搭載できるように工夫している。
データセンターから外部に出ていくメインのバックボーン回線は、少なくて10Gbps、大きなもので100Gbpsもの速度を確保している事業者が中心で、バックアップ回線も別のルートを経由して回線の冗長化を図っているのが一般的だ。
なお、回線の引き込みについてはマルチキャリア対応が一般的となっているが、実態は事業的な観点から特定のキャリアからの引き込みを禁止にしているデータセンターも多く、完全なマルチキャリアになっていないため注意が必要だ。自社がメインで契約しているキャリアの網に接続しようとしても、選択するデータセンターによってはそのキャリアの回線が引き込めないということが十分起こり得る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。