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データセンター最新ファシリティ事情IT導入完全ガイド(4/6 ページ)

» 2017年05月08日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]

 ここで、最近のデータセンターがどんな状況にあるのか、その現状を見ていきたい。

サーバを快適に動作させるための空調設備

 もともとサーバを冷却するために、ラックに対する空調機が設置され、効率的な冷却が可能な仕組みが数多く登場しているが、主なものでは壁際に設置してアクセスフロア下に冷気を送り込み、二重床からラックの前面部から背面部に送り込むことでサーバを冷却するものが一般的。また、最近では外気を取り込んで最適な温度に切り替えて冷却に利用する間接外気での冷却が一般的となっており、直接外気を利用する場合に注意が必要な結露などにも対応できるようになっている。

 なお、最近のサーバ機器は高温であっても動作可能なスペックを備えており、60度であっても動作保証範囲のものはある。ただし、サーバの寿命に影響があるため、間接外気を取り込んで冷やしながら運用していくのが一般的だ。

 また最近では、外気を利用しながら冬の間に保管した雪を蓄積し、雪氷を作成。この雪氷の下に不凍液の入った配管を張り巡らせ、空気を冷却する仕組みを採用しているデータセンターも登場している。なお、このデータセンターでは、機器から発生する熱を余剰エネルギーとして活用し、データセンター敷地内に設置した植物工場などに活用する計画となっており、従来とは異なるエネルギー循環型のデータセンターという新たなアプローチに挑戦している。

エネルギー循環型のデータセンター概念図 図1 エネルギー循環型のデータセンター概念図(出典:データドック)

 将来像としては、サーバそのものを水没させて冷却させ、データセンターで利用する電力を大きく削減するアプローチを行っている研究機関もある。

免震、制震、耐震構造

 一般的にデータセンターは、地震など災害への備えが十分に行われているが、その構造を支えているのが免震や耐震、制震などの技術だ。なかでも免震については、建物の基礎部分に免震装置を設置する基礎免震やサーバ設置の床に対して免震を施す床免震など、免震技術を適用る場所が幾つか存在している。また、建物の架構内部に部材を組み込むことで揺れを最小限に抑える制震技術もあり、サーバラックそのものを2重にして制震ダンパーによって揺れを吸収するものも存在する。

環境基準であるPUE事情

 データセンターの電力使用効率を表す指標としてよく利用されるのがPUE(Power Usage Effectiveness)と呼ばれるもので、多くのデータセンターではこのPUE値が示されている。理論的にはPUE1.0がもっとも理想的だが、一般的なデータセンターのPUEはデータセンター全体の消費電力の半分をIT機器が占める値となる2.0前後で、最近のデータセンターでは、1.4〜1.6あたりが公式な値として外部に公表されているケースが多い。

 ただし、瞬間的に低い値となるケースはあるものの、平均するとそこまでの値に達していないケースも。なお、電力使用効率を示すPUEの値が大きな選定のポイントになることはまれで、あくまで環境に配慮したCSR的な観点で議論されることが多い。

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