データセンターでは、電源系をはじめ、ツイストペアなどのメタルケーブルや光ケーブルがラック間やフロア間をまたがって配線されているが、そのためのルートが個別に確保されているのが通例だ。主な配線ルートは天井にケーブルを這わせていく架上配線やアクセスフロア下にケーブルを持っていく床下配線があるが、アクセスフロアの開け閉めによる転落や破損リスク、そしてケーブル配線およびケーブル撤去などに手間がかかってしまうこともある。
また、空気の流れをケーブルが遮断してしまうなどエアフローの観点から、床下を利用するよりも架上配線が増えている。架上配線の方が作業性が高く、ラック間の配線や追加変更をシステム担当者が行うことが多いサービスモデルの場合は架上配線の方が適している。
サーバラックは、サーバベンダーが提供するものもあればラック専用ベンダーが提供するものまでさまざまだが、基本的には米国電子機械工業会(EIA:Electronic Industries Alliance)や日本工業規格、いわゆるJIS規格として設定されたものが一般的に利用されている。EIA規格ではサーバの高さ規定としてU(ユー)という単位が規定されている他、サーバの横幅や取付け穴のピッチが規定されている。奥行については特に規定されていない。
これらの規格は存在しているものの、ラックそのものの幅や奥行などは自由に設計可能となっており、ケーブリングや取り外しのしやすさなど各社差別化が行われているのが現状だ。中には、フルサイズのラックをクオーターラックやハーフラックのサイズに切り替えて利用できるよう工夫されたラックもある。詳しくは後述する。
データセンターのインフラを語る上で欠かせないのが「Open Compute Project」だろう。これは、2011年4月にサーバなどのハードウェアに関する仕様のオープンソース化を推進するコミュニティーとしてFacebookが発足させた非営利組織だ。今では、サーバのみならず、ラックやストレージ、ネットワークスイッチなど、さまざまなハードウェアがOCP仕様として策定されており、既に製品化しているものも多い。特に日本においてはメーカー系のデータセンターなどで積極的に取り入れられている。今後の動向に注目したい。
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