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FacebookやGoogleが参加するOCPとは何か、日本企業にメリットは?(3/4 ページ)

» 2017年12月12日 10時00分 公開
[原田美穂キーマンズネット]

収益の源泉じゃないならば皆で標準化を、米中のIT巨人が同じ波に乗る

 冒頭の話に戻ろう。現在ITの巨人たる各企業では、自社データセンターから提供するサービスを収益の源泉としている。しかし、データセンターそのものやハードウェアに経済学的な意味での「価値」を見いだしている訳ではない。ここで差異化を打ち出したところで事業貢献にはならないという点がポイントだ。データセンターの調達や運用は、むしろ徹底的に効率化、均質化を行い、原価低減を目指すべき、というのが主要なIT巨人たちの考えだ。

 Open Compute Projectはこうした背景から生まれた。いま、データセンターを運用する際に、最も経済的で効率的で、調達の無駄、運用の無駄を排除して品質を保つための、企業の垣根を越えた巨人たちの共同プロジェクトだ。

 参加組織は取材当日で200社以上。米国企業ではFacebookやGoogleの他、MicrosoftやIBM、AT&Tも参加している。Microsoftは、次世代データセンター向けのハードウェア開発プロジェクト「Olympus」の設計データをOCPに提供しており、AT&Tはネットワーク周りの設計情報を提供していることが知られている。

 さらに最近では、“中国版Twitter”「Weibo」などで知られるTencent holdingsや、オンライン小売りなどを手掛けるAlibaba Groupといった中国企業の参加も目立つ。例えば2017年6月にプロジェクトに参加したAlibabaでは自社で開発を進めるサーバ液浸冷却技術を同プロジェクトに提供する計画を発表している。

Redfish対応、OpenNFV、OpenCORDとの連携……最新の技術トレンドを取り込む

 Open Compute Projectには、大手事業者らが検討した技術が盛り込まれるため、データセンター管理の比較的新しい技術トレンドにもいち早く追従できる点も特徴の1つといえるだろう。

 新しいハードウェア管理インタフェースやOpenStackやOpenNFV、あるいは通信事業者らによる局舎のソフトウェア化に関する取り組みの1つといえる「OpenCORD(Central Office Re-architected as a Datacenter)」などとも連携しており、参加企業らはこれらを組み合わせた最適化を進めている。

 例えばAT&Tでは、専用の機器をNFV(Network Functions Virtualization)やSDN(Software-Defined Network)、OpenCORDプロジェクトの取り組みの一環で、OCP準拠のデータセンターを構築することで、50〜70%の機器を削減している。調達コストが削減できたことに加え、通信設備をソフトウェア化したことで運用やサービス展開の速度も大きく改善している。

OCP周辺のオープンソースコミュニティーー。ITインフラのソフトウェア化だけでなく、通信のソフトウェア化に関わる部分の開発も盛んだ OCP周辺のオープンソースコミュニティー。ITインフラのソフトウェア化だけでなく、通信のソフトウェア化に関わる部分の開発も盛んだ

 この他、ハードウェア管理では従来のIPMI(Intelligent Platform Management Interface)に変わると目されている新しい標準インタフェースである「Redfish」のAPIに対応している。RESTful APIであるため、取り扱いもしやすい。

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