事業の統廃合や買収、企業グループ間の移動はもはや当たり前によくある話。ワークフローを整理してすぐに成果を出さなきゃいけない時代に、IT部門に課されるお題はムチャぶりだらけ。どうすれば効率よくできる?
企業合併や事業統合を契機に基幹系業務システムを統合したり刷新したりといった事例は珍しくないが、複数のシステムを生かしながら連携して運用する方法を採用するケースはそう多くない。
MCフードスペシャリティーズ(以下、MCFS)は、三菱商事グループへの参入を機に、基幹業務システムを刷新している。新システムでは、経営の可視化や内部統制ルールへの対応、グループ内企業統合も視野に、柔軟で機動力の高い仕組み作りが求められた。
本稿は、2018年7月25日に開催された「アシストフォーラム2018 in 東京」(主催:アシスト)の講演を、編集部が再構成した。
MCFSは、キリンビールや協和発酵工業など複数企業の数度にわたる事業統合の末、2013年にキリングループから三菱商事グループの一員として生まれ変わった大手食品素材メーカーだ(2014年に現社名に変更)。
「キリン協和フーズ」は協和発酵工業の食品事業やキリンビールの機能性食品事業、武田薬品工業の食品事業、メルシャンの加工用酒類事業を統合した、キリングループの1社だった。2013年、三菱商事ライフサイエンスがこのキリン協和フーズを買収したことで、三菱商事グループに参入した。事業の主力は食品メーカー向けに調味料などを卸すBtoBビジネスだ。
もともと同社のIT基盤はキリングループが運営してきたが、三菱商事グループ傘下では、グループの内部統制要件に対応したり、あるいは別の事業会社との統合も含めた最適化を検討したりする必要があった。
「2013年7月の統合後は三菱商事グループとしての内部統制要件に対応が必要になると同時に、MCFSと同様に三菱商事ライフサイエンス(以下、MCLS)の小会社である、興人ライフサイエンス、三菱商事フードテックの2社との一体的経営を視野に入れた新基幹システムが求められた」(MCフードスペシャリティーズ 情報システム室 室長 服部信也氏)
グループ3社の経営管理基盤構築プロジェクトは次の4点を方針骨子として進められた。
(1)経営情報の見える化を実現する(将来的には子会社や関連会社を含む可視化を目指す)
(2)パッケージシステムを活用した業務標準化やシステム統合を推進する
(3)三菱商事グループの内部統制要件に対応する
(4)QCD(品質・コスト・納期)を意識してプロジェクトを安定着地させる
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