「アレクサ」と呼びかければLEDの点滅とともにAIアシスタント「Alexa」が起動し、音声コマンドでさまざまな操作を可能とするAmazonのスマートスピーカー「Echo」シリーズ。2018年第4四半期には全世界で1370万台も出荷されたそうだ。
Amazonのスマートスピーカーに衝撃的な疑惑が持ち上がっている。何でも「Alexa」はユーザーの会話を録音していて、Amazonの従業員が聞いているんだとか。しかも場合によっては聞き取った内容を共有しているという。これって盗聴と同じことじゃないの?
担当者は、聞き取った音声を文字に起こすと同時に注釈のタグを付ける。いわゆる「アノテーション」という作業だ。例えばユーザーが「テイラー・スウィフト」について話していたら「音楽アーティスト」というタグを付ける。
この作業に従事する人は言語ごとに数千人いて、1日9時間の労働で1人当たり1000件前後の音声データにタグを付けている。音声データの中には「プライベートな音声」や「誰かが犯罪被害に遭っているような音声」といった明らかにAlexaに話しかけたと思えないものも含まれている。
問題は、これらの「動揺してしまう」音声データを聞いた担当者は、ストレスを取り除くために内部のチャットルームでその経験を共有することもあるというのだ。
報道に対して、Amazonの広報は全面的に内容を認めている。「ユーザーエクスペリエンスの向上のため、Alexaが録音した音声の中のごく少数のデータにタグを付けているだけ」「この作業はAlexaのプログラムにフィードバックされ、人間の発話に対してAlexaがより理解を高め、正確にコマンドに反応するのに役立っている」とのことだ。
「担当者は、音声からユーザーの氏名や住所といった個人情報を知ることはできないようになっていて、その内容を口外しないような契約を結んでいる」とも強調する。データはさまざまな方法で保護され、高度な機密性を保って扱われているので、要するに「悪いことはしていない」ということなのだろう。
実際のところ、Alexaのプライバシー条項に「機能向上のため発話は録音されデータ化されて使われることがある」と明記されている。「この設定をオフにすると、新機能が上手く機能しない可能性もある」とも書かれている。
この「事件」、音声から個人が特定されるようなことはなさそうだ。しかしモヤモヤするところが多数あるのも間違いない。気持ちが悪いと思えばAmazon Echoの電源をオフにするのがいいかもしれないな。
上司X: スマートスピーカー「Echo」が録音したユーザーの音声を、Amazon従業員が聞いていたという話だよ。
ブラックピット: まさかEchoとのやりとりを聞かれていたなんて。僕もEchoユーザーですけど。毎日使ってますよ。「Alexa、今日のニュース聞かせて」とか。
上司X: おや、あまり驚かないんだな。
ブラックピット: 音声アシスタントの機能向上のために各種データを取得しているとか、「いまさら何だ」と思わざるを得ませんね。
上司X: キミにしてはずいぶん寛容な話だな。
ブラックピット: 妙な音声も聞こえることでしょうよ。まさか手作業で音声にタグ付けしてるとは思いませんでしたけどね。
上司X: でも「盗み聞きしている」というイメージが付くと、「スマートスピーカー、それでいいのか?」って思われそうだよ。
ブラックピット: 「盗み聞き」と言うからイメージが悪くなるんですよ。「そういうものだ」と知っておけばいいんです。僕のくだらない言葉でAlexaの性能がアップするかもしれないんですよ。気になる人は使わなきゃいいんですよ。使わないと生きていけないなんてことはないでしょう?
上司X: その点に関しては異議なしだ。実は俺もEchoユーザーなんだ。せっかくだから俺の奇天烈な音声コマンドもアノテーションしてもらおうかな。
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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