キーマンズネットが実施した読者調査によれば、中堅以下の企業でIT投資を「増額」する企業が増えていることが分かった。2023年、企業は何に関心を持ち、投資するのだろうか。
キーマンズネット編集部では、2023年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「SaaS」「電帳法/インボイス」「Windows 11」「社内ヘルプデスク」「音声コミュニケーション」「デジタルスキル」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2022年11月11日〜12月12日、有効回答数654件)。
これまで、それぞれのトピックスについての調査結果を紹介してきたが、最終回となる今回は、企業における2023年のIT投資意向に関する調査結果をお届けする。
2023年度のIT投資額が2022年度と比べて増減するかを尋ねたところ、全体では「増額される」が13.3%、「ほぼ同じ」が51.2%、「減額される」が8.4%となった。例年同様「ほぼ同じ」と回答する人が多く、依然としてIT投資額は横ばいとなる企業が多そうだ。一方で「増額される」の割合は前々回の調査が11.3%、前回の調査が11.4%、今回は13.3%となっており、わずかではあるが増加傾向にあることが分かる。
従業員規模別に見ると、前回の調査よりも従業員数1000人以下の企業で「増額される」の割合が大きく伸びており、特に従業員数「501〜1000人」の企業では7.4%から16.3%に増加している。2023年は中堅以下の企業にもデジタル化の波が押し寄せる年になりそうだ。
業種別に見ると「流通業」でIT投資額が「増額される」と回答した人の割合が25%となり、前回調査の15.4%から大きく伸びた。ここ数年、経済産業省もサプライチェーンのスマート化に取り組んでいるが(注1)、2023年は流通DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する年になるかもしれない。
2023年度、企業はIT関連項目のうち、何に投資するのか。選んだ人の割合が最も高かったのは「セキュリティ対策」(27.1%)で、前回(21.4%)から増加した。従業員規模別に見ると、従業員数が多いほど「セキュリティ対策」を選択する割合が高かった。予算や人員が潤沢な大企業を中心に、セキュリティに力を入れる企業が多そうだ。
一方、「テレワーク環境/モバイルワーク環境整備」を選んだ人の割合は8.9%、「コミュニケーションツール」は8.3%となり、それぞれ前回の13.3%、11.4%から減少した。コロナ禍によるハイブリッドワーク環境整備の波が一段落したと思われる。
本調査では、所属部署における2023年度の重要課題についても尋ねた。
先述の投資意向と同様「セキュリティの強化」を選ぶ人も多いが、特に割合が高かったのは「人材育成」(46.3%)や「IT人材の不足、高齢化」(35.3%)などの人材関連の課題だ。前回調査の結果と比較しても増加しており、従業員規模や業種によらず、2023年度の注目トピックになりそうだ。
本調査の「デジタルスキル」に関する結果では、大企業ほど研修やe-learningなどのデジタルスキルの学習プログラムを従業員に提供していることが分かった(注2)。中小企業にもこの流れが波及するか、注目したい。
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