大手コンサルティング企業の調査から、CFOがCEOになるために必要な6つの要素が明らかになった。CEOを目指すと決めた際、確認すべき4つの項目も紹介する。
CFO(最高財務責任者)をはじめとする経営幹部がCEOを目指すためには、どうすればよいのだろうか。
大手コンサルティング企業のMcKinseyが67人のCEOに実施したインタビューから、重要な6つの要素が明らかになった。また、CEOを目指すと決めた際、確認すべき4つの項目も紹介する。
調査の結果によると、CEOを目指す上で必要な要素は以下の6つだ。
McKinseyのコンサルタントは、ポッドキャストで次のように語った(注1)。
「3人に1人のCEO(30%)が就任後3年未満で退任する。CEOを目指す候補者は、役職を求める動機と期待を全て評価した上で、24時間365日の集中力が求められ、全てを犠牲にするような仕事を予想しておく必要がある」
また、McKinseyは、報告書で次のようにも述べている(注2)。
「CFOからCEOを目指す場合、数字だけでなく、より大きなビジョンを持っていること、前例のない新しいコンセプトに対してリスクを取る覚悟があること、事実だけでなくストーリーを通じて従業員のやる気を引き出し、彼らを巻き込めると示すことが求められる」
リクルート企業であるCrist|Kolder Associatesによると、CFOはCEOに至る一般的なステップだ。Fortune 500およびStandard & Poor’s 500に認定されている企業のCEOのうち、8.4%がCFOから転身しており、これは2013年の5.8%から増加している。
Crist|Kolder Associatesの調査によると(注3)、消費財およびサービス業界のCFOは、CEOに昇進する可能性が最も高い。一方で、医療業界のCFOはCEOの地位に就く可能性が最も低い。
会計の専門誌に引用されたCrist|Kolder Associatesのレポートによると(注4)、金融サービス企業のCEOの4人に1人はCFOを経験している。
McKinseyによると、CEOを目指すCFOや他の役員は、自らの展望のために4つの重要なポイントを確認すべきだという。McKinseyのキャロリン・デュワー氏(パートナー)は、次のように述べた。
「はじめに、自分の動機と期待を見極めよう。そして、CEOの役割のあらゆる側面を調査した上で、それでもCEOになりたいのであれば、その理由を深く考える必要がある」
また、デュワー氏は「CEOとして過ごすハネムーン期間はすぐに終わるだろう」とも述べている。CEOを目指す人は、その職に就くことで得られる他者からの評価ではなく、その職を長く続けるという挑戦の気持ちを大切にしなければならない。
American Expressのケン・シェナル氏(元CEO)は、McKinseyに対して「リーダーシップを志すのであれば、自分の人生を奉仕する覚悟を持たなければならない」と語った。
McKinseyによると、Aonのグレッグ・ケース氏(CEO)は、将来のCEO候補者に対して、その地位が家族に及ぼす影響について、「あなたはCEOに志願するが、それに伴って家族は徴兵されることになる」と警告している。
2つ目のポイントとして、「企業の最高職を目指すCFOは、現在の役割において優れた結果を目指すべきだ」とMcKinseyは語る。
General Motorsのメアリー・バーラ氏(CEO)は、次のように述べている。
「一生続けるつもりで、現在の仕事に全力を尽くすべきだ。そのような気持ちは、仕事への投資を促し、結果を改善する」
McKinseyによると、CEOを目指すCFOは、高い視座、長期的な視点を持つべきだという。
McKinseyのヴィック・マルホトラ氏(パートナー)は「成功したCEOの約80%は社内から昇進しているが、彼らの多くは外部から採用されたかのような覚悟を持っている」と述べた。次のようにも続けた。
「あなたは、事業や業界を横断する取り組みに参加して、自らの視野を広げているだろうか。より高い位置からステークホルダーを見渡せているだろうか。CEOになるためには、大局的な視点も持つ必要がある。それらの視点は、徐々に備わっていくものではなく、意識して備えるべきものだ」(マルホトラ氏)
3つ目のポイントとして、「CEOを目指すためには謙虚さが欠かせない」とデュワー氏は述べている。
「CEOを目指す過程の最初のステップは、求められる能力とあなたが持っている能力を客観的に比較することだ。企業の目指すべき場所との兼ね合いで、CEOにはどのような能力が求められるだろうか。また、あなたはその能力を備えているだろうか」(デュワー氏)
4つ目のポイントは、CEOの候補者は選考プロセスや誰に向かって自らのビジョンや考えを伝えるべきかを十分に理解する必要があるという。通常、取締役会はエグゼクティブサーチ企業に依頼し、社内外から候補者を探す。
「ときには大胆なビジョンが取締役会や現在のCEOにどのように響くか心配になるだろう。なぜならば、そのようなビジョンは、企業が過去に追求してきた幾つかの物事に疑問を投げかけるためだ。そのため、絶妙なバランスを維持した上で、ビジョンを語らなければならない」(マルホトラ氏)
出典:6 essentials for CFOs aiming to rise to CEO: McKinsey(CFO Dive)
注1:How to prepare for the CEO role(McKinsey & Company)
注2:Stepping up: Becoming a high-potential CEO candidate(McKinsey & Company)
注3:Volatility_Report-FINAL.(Crist|Kolder)
注4:Diversity continues to rise among CFOs and CEOs, survey shows(Journal of Accountancy)
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