ERPの導入には複雑なプロセスを伴うため、さまざまな問題が発生しがちだ。一般的な5つの問題と、それらを事前に回避する方法を紹介しよう。
ERPの導入はどの組織にとっても困難なプロセスだ。ERPの導入を成功させると、プロセスの合理化や企業収益の増加といったメリットを得られるが、導入でトラブルが起きるとカットオーバーが遅れ、場合によっては訴訟に発展する。
これらの困難を乗り切るためには、細部への注意やチェンジマネジメントの取り組み、適切なトレーニング、適切なパートナーとの連携が必要だ。
発生しやすい一般的な問題の幾つかを事前に学び、問題の発生を防ごう。
ERPベンダーの役割は、導入における技術的側面にとどまらない。
ERPベンダーが提供できる最も重要なリソースは、ベストプラクティスや回避すべき落とし穴、従うべき最良のプロセスなどソフトウェアの実装に関する経験だ。プロジェクトチームのメンバーは、ベンダーの経験と、そのベンダーが過去に導入を支援した企業の業種を考慮し、適切であるかどうかを確認する必要がある。
複数の部門が関与するプロジェクトには強力な連携体制が必要であり、これはERPの導入においても例外ではない。
社内の各部門から適切な代表者を参加させる必要があり、チームメンバー全員がプロジェクトの目標に向かって足並みをそろえるべきだ。ERPの導入を失敗させる一般的な要因は、チームメンバー間のコラボレーション不足だ。プロジェクトリーダーは、必要な部門からの従業員や、連携できる従業員がチームに参加しているかどうかを確認する必要がある。
グループに入れるべき最も重要なチームメンバーは、ERPを導入した経験を有するプロジェクトマネジャーだ。プロジェクトマネジャーは、チームが期限やプロジェクト要件、予算を順守しているかどうかを確認する役割を担う。
ERPの導入では予期せぬコストが発生しやすい。これらの予期せぬコストの中には、計上されていないカスタマイズ費用やハードウェア費用、統合費用などが含まれる。
プロジェクトリーダーは、早い段階でプロジェクトの範囲を明確にし、チームメンバーにカスタマイズが本当に必要かどうかを検討するよう促すべきだ。これにより予期せぬコストの発生を回避できる。
ERPの導入準備における最も重要なステップの一つは、システムの機能を明確に定義し、それを企業の既存のビジネスプロセスにマッピングすることだ。
ERPの導入前にビジネスプロセスを文書化することで、プロセスをより円滑に進めることができ、組織におけるチェンジマネジメントも容易になる。また、新しいERPが現在の従業員のタスクにどのように適合するかを導入チームがあらかじめ明確にしておくことで、トレーニングが改善されるだろう。
一部の企業では、ERPの機能を補うために他のプログラムを使用する必要がある。他のソフトウェアとERPを統合できると、データ入力の重複を排除できる。よく統合されるシステムには、CRMや人事ソフトウェア、輸送管理システム、eコマースソフトウェアなどがある。
統合能力の欠如は、導入の失敗や従業員の不満につながる可能性がある。ERPが他の企業のツールと統合されていなければ、従業員のタスクが煩雑になるためだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。