ある調査によると、世界のメインフレーム市場は今後も成長が続く見込みだ。なぜクラウド時代でもメインフレームの需要は衰えないのか。
年々、クラウドへの移行が進む中でもメインフレーム市場の成長は衰えないのはなぜか。
Panorama Data Insightsのメインフレーム市場の予測によると、世界のメインフレーム市場は、2022〜2031年の間、29億〜54億ドルまでの収益増加が見込まれるという。2023〜2031年の年平均成長率(CAGR)は7.3%に達する予測だ。
同社が市場の原動力と見ているのが、「メインフレームの強み」と、クラウド普及によって新たにもたらされたメインフレームの役割だ。
Panorama Data Insightsによると、メインフレームは信頼性と処理能力の高さで知られており、金融や保険、政府機関、大規模製造業など業務継続を特に重視する業界で不可欠な存在だ。
メインフレームには中央処理装置(CPU)や電源装置といった冗長コンポーネントが組み込まれており、ダウンタイムを抑制する仕組みが整っている。これによって、システム障害が発生しても業務継続を図れる。
メインフレームのもう一つの特徴が、エラー検出機能と修復機能だ。特に金融取引を実施したり機密情報を扱ったりする企業にとって、メインフレームはデータ損失を防ぐ設計によって事業継続を図るためのデータ管理基盤となっている。
Panorama Data Insightsによると、クラウドコンピューティングの普及に伴って、メインフレームの役割は変化しているという。
従来、メインフレームは主にオンプレミス環境で利用されてきたが、現在ではクラウドと統合したハイブリッド環境での運用が拡大している。ハイブリッド環境で運用する企業は、メインフレームの信頼性の高さを維持しつつ、クラウドの柔軟性やスケーラビリティを得ることを期待している。
IBMや富士通などの主要ベンダーはクラウドとメインフレームとの統合を進め、AIやビッグデータ解析との連携による価値創出を目指している。「このような進化は、メインフレームの長寿命化を促し、市場拡大の大きな推進力になる」とPanorama Data Insightsは予測する。
メインフレーム市場の成長が期待される一方で、課題も存在する。Panorama Data Insightsが指摘するのは次の2点だ。
こうした課題に対処するために、多くの企業は企業はクラウドとメインフレームの融合によるコスト最適化を進めている。AIによる自動運用技術も進展している。「これらの理由によって、より多くの企業がメインフレームのメリットを享受しやすくなる」とPanorama Data Insightsは推測する。
金融機関や政府機関におけるデータセキュリティの強化や、5GやIoTの普及に伴う大量データ処理の需要の増加が、メインフレーム市場のさらなる成長を後押しする要因になると同社は予測している。
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