同業の被害で初めて気付く漏えい  「アラート不発」を起こす攻撃の正体

AIの悪用によってサイバー攻撃が数分で完了する時代になった。従来の防御策を擦り抜ける巧妙な攻撃が急増する中で、企業は「未検出の脅威」にどう対抗すべきか。

 「ファイアウォールやウイルス対策ソフト、EDRを導入してセキュリティ対策を定期的に更新している。対策をしているから大丈夫だろう」

 このような対策を済ませている組織であっても、サイバー攻撃者による侵入を完全に防ぐことは不可能な状況に陥っている。

 多くの企業は、既に社内ネットワークに侵入されている可能性があっても、それを検知できないまま脅威にさらされている。境界防御を擦り抜けた攻撃者は、管理者の目を盗んで内部に潜伏し、機密情報の奪取やランサムウェアの実行に向けた準備を進める。

 こうした状況の背景にはAIによる攻撃手法の変化がある。AI技術の悪用によって、従来は複数の攻撃者が分担して数週間から数年かかっていた攻撃プロセスが、わずか数分から数時間で実行可能になった。

 特に問題となるのが、侵入後の攻撃者が「悪意あるプログラム」を不用意に実行しない点だ。管理者が日常的に業務で利用する正規のツールを悪用して、社内の通信に紛れて活動する。その結果、検知システムのアラートが鳴らず、被害が表面化するまで侵入の事実を把握できないケースが相次いでいる。

 「同業他社がサイバー攻撃の被害を公表したことを受け、念のため点検したところ自社の情報も流出していた」――。このような経緯で被害が判明する可能性があるなど、構造的な脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになっている。

通信の「事実」から潜伏リスクを可視化する

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