富士通が、約16万人の従業員を対象にクラウドストレージサービス「Box」の導入を決めた。コンテンツ一元管理で得られる3つのメリットとは。
富士通が、社内の文書データなどのコンテンツ一元管理のために企業向けクラウドストレージサービス「Box」を導入することを決めた。対象となるのは国内外の同グループ従業員約16万人だ。
富士通とBoxは、戦略的パートナーシップに向けた覚書(MOU)を締結し、2016年10月以降、富士通のデータセンターからBoxを提供する。また、2017年からは「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」の一部として、富士通のサービスとBoxを組み合わせる形で販売を予定する。
2005年に創業したBoxは、GEやP&Gなど世界で18万社に利用が広がるクラウド型のファイル共有サービスだ。2013年には日本法人も立ち上げ、日本語化も完了している。国内ではLIXILや資生堂といった企業や、早稲田大学などの教育機関など1000社以上で導入されている。
富士通では2012年1月からグループ全従業員が利用する「グローバルコミュニケーション基盤」を進めており、Boxの採用によるコンテンツマネジメントの強化を図る。
1つ目は、コンテンツの一元管理。例えば、メールへのファイル添付を禁止するという。社内の関係者とファイルを共有する手段としてメールへの添付はよく使われる手法だ。この結果、メールの受信者ごとに添付ファイルが生成されることとなり、それがメールボックスの容量を圧迫してしまうといった悩みをよく耳にする。富士通の場合、ファイルストレージの80%を重複ファイルで占めていた。今後、添付ファイルは自動的にBoxに格納され、受信者にはファイルのありかを指すURLが埋め込まれたメールが届くようになる。
2つ目は、情報漏えい対策の強化だ。東京商工リサーチが2015年5月に発表した「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」調査によれば、原因の1位は「PCの紛失や廃棄」(45.8%)、2位は「誤送信や誤表示」(20.5%)だった。富士通では今後、コンテンツの個人保管を禁止し、Box上に集約する。これにより、万が一のPC紛失でもデータがローカル環境に存在しない。また、コンテンツへのアクセスコントロールにより、誤送信が発生しても部外者によるデータ参照が不可能となる。
3つ目は、コラボレーションの強化による生産性の強化だ。1つ目の狙いでも触れたが、現在のビジネスは社内外の複数の関係者との協業なしには進まない。また、スマートデバイスの普及などにより、文書データの参照や編集は社内のみに限定されなくなった。Boxの活用により、富士通社内の利用で10%、社外の顧客やパートナーも含めた利用では20%の生産性向上を試算する。
今後、3〜5年をかけてオンプレミス環境のファイルサーバからクラウドストレージへのリプレースを完了するだけでなく、人事・総務システムや調達システム、販売システムといった基幹システムもBoxコンテンツ管理基盤と連携させ、クラウド化を推し進めていく。
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