従業員が互いに感謝と報酬を贈り合うことで、従業員エンゲージメントの向上や企業風土のコントロール、コアバリュー経営に有効とされる。
ピアボーナスとは、従業員が相互に報酬を贈り合う仕組みだ。基本給や、成果や成績に応じて支払われる成果給といった会社から支給されるものとは異なるもので、仲間から渡される「第三の給与」とも呼ばれる。
同僚や部下からの評価を顕在化し、見えないところで会社に貢献する「サイレントヒーロー」の発見、従業員エンゲージメントの向上、コアバリュー経営の実現などに役立つと期待される。
ピアボーナスの運用を支援するサービスを用いることで、決められたタイミングで換金できるポイントや感謝のメッセージを従業員同士で贈り合える仕組みづくりが可能となる。
ピアボーナスの導入によって、定性的な組織貢献を可視化できるようになる。人知れず組織に貢献する従業員(サイレントヒーロー)は、その功績を知る人からしか評価を得られない。定量的な評価だけでは、企業がサイレントヒーローを正当に評価するのは困難だった。
ピアボーナスは、組織に埋もれたサイレントヒーローを発見し、評価するのに有効な制度だ。「共に働く仲間」から見た、客観的評価の新たな仕組みとして期待されている。
ピアボーナスは、Googleの社内的な取り組みが広がったものだ。同社は月に150ドル程度のボーナスを贈る仕組みを「上司承認が必要」「同じ人には何度も送れない」などの厳格なルールに基づいて運用している。
HR Tech企業のイグナイトアイは「褒め言葉が飛び交う文化」を醸成するため、贈り主を表彰する仕組みを取り入れている。
ピアボーナスのメリットには、従業員エンゲージメントの向上や社内コミュニケーションの活性化、定性的貢献の可視化、称賛し合う文化の浸透などが挙げられる。貢献が目立ちにくいバックオフィス部門などの従業員は達成感を得る機会が増えるため、間接部門における人材流出の防止が期待できる。
ピアボーナス制度にはコスト面での問題がある。ピアボーナスの運用を支援するシステムやサービスの導入、利用コスト、ボーナスの原資を負担するコストが必要になる。また、少額の金銭では制度に感じる魅力も薄く、ピアボーナスの金額のみで従業員エンゲージメントを維持するのは困難だろう。
仕組みの形骸化を防ぐ施策や人事評価への取り込み、定期的な表彰など、従業員同士の評価を企業が拾い上げて認める機会も作る必要がある。
ピアボーナス運用支援ツールは個人間ギフトサービスとは異なり、報酬の原資を企業に持たせ、社内ツールなどと連携させて報酬のやりとりを促進する。報酬がやりとりされた履歴から従業員エンゲージメントを可視化したり、サイレントヒーローへの評価制度を検討したりといった人事業務での利活用も可能だ。以下は、各サービスサイトの情報を基に、費用や機能、トライアルの有無などを独自にまとめたものだ。サービス選定の際の参考としてほしい(2021年10月時点)。
サービス名 | 費用 | 形態 | チャット連携 | その他機能 | 無料トライアル |
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Unipos | 初期費用+月額費用 | WEBサービス | Microsoft Teams、Slack、ChatWork、Facebook Workplace | データ分析・プロフィール管理等 | なし |
Heytaco | 3ドル/月・人 | Slackアプリ | Slack | ー | あり |
Co:TEAM | 初期費用+月額費用 | WEBサービス | Slack | 目標管理、評価機能 | あり |
RECOG | 初期費用+月額費用+報酬機能オプション費用 | WEBサービス | Slack、Chatwork、SmartHR | チャット、掲示板、社員データベース等 | なし |
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