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通知過多やExcelの情報探しで混乱、情報管理の妙薬とは?

若手ビジネスパーソン600人を対象にしたヌーラボの調査によると、約8割が「メールやチャットの通知過多で情報の混乱を経験」し、約半数が業務に必要な資料や過去の連絡履歴探しに年間26時間を費やしていることが判明した。有効な解決策とは?

» 2025年03月25日 08時00分 公開
[金澤雅子キーマンズネット]

 ヌーラボは2025年3月17日、「若手社員の戸惑いとチームワークマネジメントの実態」についての調査結果を発表した。

 新年度が始まる4月は、多くの企業で新入社員の受け入れや部署異動がある。新メンバーが加わることで組織に新たな活気が生まれる一方で、情報共有の不備やタスク管理の不透明さが原因で、業務の混乱が生じやすくなる。今回の調査は、こうした新年度に頻発する情報共有の課題と、その解決のカギとなるチームワークマネジメントの実態を探るため、20〜25歳の若手ビジネスパーソン600人を対象に、2025年1月27日に実施された。

電子メールやチャットで8割が情報の混乱、3割超が確認漏れを経験

 現代の職場では、電子メールやビジネスチャット、メッセンジャーアプリなどのツールを活用して社内外と連絡を取るのが当たり前になっている。今回の調査では、約8割(79.1%)の若手ビジネスパーソンが、これらのツールを使う際に「困った経験がある」と回答した。便利な連絡ツールだが、大量に情報が入ってくるため、混乱することも多い現状が浮き彫りになった。

社内外の関係者と、電子メールやビジネスチャット、メッセンジャーアプリなどで連絡を取る際に困った経はあるか(出典:ヌーラボ発表リリース)

 電子メールやビジネスチャットに関して、特に多くの人が悩んでいるのは、「通知が多すぎて確認漏れが発生する」(30.4%)という問題だった。チャットの利便性が高まる一方で、重要な情報が次々と流れてしまい、適切なタスク管理が難しくなっている。

 さらに、「重要な情報が埋もれて見逃してしまう」(25.9%)、「やりとりの履歴や必要な資料を探すのに時間がかかる」(24.4%)と、情報の整理や検索の手間も大きな負担になっていることが分かった。

仕事で電子メールやビジネスチャットを使用する際、どのようなことに困っているか(出典:ヌーラボ発表リリース)

 こうした課題は、単なる不便さにとどまらず、業務の進行そのものに影響を及ぼしている。今回の調査では、「社内外の関係者と、電子メールやビジネスチャット、メッセンジャーアプリなどで連絡を取る際に困った経験がある」と回答した人のうち、約半数(46.4%)が「ツールの使い方が原因でタスクやプロジェクトが遅延した」と回答した。

 ヌーラボは、ツールの多様化が必ずしも業務効率向上につながるとは限らず、情報の分散や管理の煩雑さが逆効果になっている可能性があると指摘する。今後は、情報の埋もれを防ぎ、業務の優先順位を明確にする仕組みづくりが求められると説明する。

資料探しに年間26時間、業務効率を下げる情報管理の落とし穴とは

 業務をスムーズに進めるには、必要な資料や過去のやりとりをすぐに見つけられることが重要になる。しかし、「やりとりの履歴や必要な資料を探すのに時間がかかる」と回答した人の約半数(49.9%)が、1週間に30分以上を資料探しに費やしていることも判明した。年間にすると26時間以上が「資料を探す時間」として失われている計算になり、企業全体で見ると大きなコストにつながる可能性がある。

1週間でどれくらいの時間を資料や履歴探しに費やしているか(出典:ヌーラボ発表リリース)

 同調査では、データ管理の定番になっている「Microsoft Excel」(以下、Excel)を使用したデータ管理についても調査した。Excelによるデータ管理について、若手ビジネスパーソンの6割以上(60.5%)が「不便を感じたことがある」と回答した。特に、「ファイルの容量が大きくなると動作が遅くなる」(22.3%)、「複数人による同時編集ができない」(20.3%)、「データの最新バージョンが分からなくなる」(16.8%)といった課題に多くの人が不便に感じていることが分かった。

 デジタルツールの活用が進む現代においても、業務の多くがExcelに依存しており、その管理の煩雑さが業務効率を下げる要因になっているとヌーラボは指摘する。

Excelを使用したデータ管理で、不便を感じたことはあるか(出典:ヌーラボ発表リリース)

チームワークマネジメントが実践されている職場はわずか1割

 今回の調査で、新年度における情報管理や業務ツールの課題が浮き彫りになった。メールやチャットの通知過多、タスク管理の曖昧さ、Excelの非効率な運用は、若手社員の戸惑いを生み、業務の遅延につながる要因となる。

 こうした問題の根本には、「チームワークマネジメントの欠如」があることも明らかになった。同調査では、「チームワークマネジメントが十分に実践されている」と回答した職場はわずか1割(10.5%)にとどまり、多くの職場で情報共有やタスク管理の仕組みが整っていない実態が明らかになった。

職場でチームマネジメントが実践されているか(出典:ヌーラボ発表リリース)

 組織内での業務フローが体系化されていないと、「誰が何を担当しているのかが曖昧」「タスクの優先順位が不明確」「過去の資料を探すだけで時間がかかる」などの問題が発生しやすくなる。特に新年度のように新入社員や異動者が加わる時期は、こうした課題がより顕著に表れ、スムーズな業務の進行を妨げる要因となる。

 こうした課題を解決するカギとなるのは、「チームワークマネジメントの導入、強化」だとヌーラボは説明する。チームワークマネジメントとは、個々のタスク管理にとどまらず、異なる所属や組織を超えたメンバーが共通の目標に向かい、効率的に業務を進めるための手法だ。これを実践し、共通ルールの整備やタスクの可視化をすることで、チーム全体での情報の整理・共有がスムーズになり、役割や進捗が明確になるなど、効率的な業務環境を整備できる。情報の分散や属人化を防ぎ、新入社員や異動者もスムーズに業務に馴染める環境を作れる。

 ヌーラボによると、実際にチームワークマネジメントが機能する職場では、「情報共有が円滑になり、業務の属人化が解消された」「進捗が可視化され、タスクの優先順位が明確になった」という声が上がっているという。

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