「Amazon S3」が誕生から20年を迎えた。今回のAWSアップデートでは、S3の新しい管理機能に加え、ハイブリッド環境での名前解決を支援する「Amazon Route 53 Global Resolver」も一般提供が始まった。クラウドを“使う”だけでなく、“整えて運用する”ための機能強化が目立つ内容だ。
Amazon Web Services(以下、AWS)は2026年3月16日(米国時間)、同社のサービスに関する週次アップデートを公開した。今回の注目点は、クラウドストレージサービス「Amazon S3」(以下、S3)の20周年と、「Amazon Route 53 Global Resolver」の一般提供開始だ。
2006年3月14日のサービス開始から20年。S3はクラウドインフラを支える代表的なストレージサービスとして拡大を続けてきた。2026年3月時点で保存するオブジェクトは500兆を超え、世界全体では毎秒2億超のリクエストを処理している。AWSによると、保存データ量は数百エクサバイト規模に達しているという。
価格面でも、S3の「Standard」料金はサービス開始時から約85%低下し、現在は1GB当たり2セント程度で利用できる。こうした価格低下と大規模化の両立が、クラウドストレージを企業ITの標準的な選択肢へ押し上げてきたといえそうだ。
今回のアップデートで注目したいのが、S3の汎用(はんよう)バケット向けに追加された「Account Regional Namespaces」だ。従来は、S3のバケット名はグローバルで一意にする必要があり、希望する名前が使えないこともあった。新機能によって、自社アカウントのリージョン内で名前空間を管理しやすくなり、命名ルールの整理や運用の標準化を進めやすくなった。
ネットワーク運用の省力化という観点では、Amazon Route 53 Global Resolverの一般提供開始も見逃せない。これまで、自宅やサテライトオフィスなどから社内向けドメインを名前解決するには、VPC(Virtual Private Cloud)をはじめとする個別の構成や複雑な設計が必要になることがあった。Amazon Route 53 Global Resolverは、そうしたハイブリッド環境や分散環境でのDNS名前解決をシンプルにする。
この機能を使えば、認可されたクライアントは、接続元を問わず、パブリックドメインや「Route 53 Private Hosted Zone」に関連付いたプライベートドメインを名前解決できるようになる。複数拠点やリモートワーク環境を前提にした運用を進める企業にとっては、DNS設計を見直すきっかけになりそうだ。
セキュリティ面では、危険なサイトや不適切なサイトへの接続を抑制する「DNS query filtering」やログの一元取得、「Dictionary DGA対策」(辞書にある単語を組み合わせた一見自然に見える怪しいドメインへの対策)などの機能も利用できる。DNSレイヤーでの可視化や制御を強化したい企業にとって、有力な選択肢の一つになる。
今回のアップデートでは、業務環境や開発基盤に関わる機能強化も発表された。
「Amazon WorkSpaces」では、「Windows Server 2025」ベースのバンドルが追加され、「TPM 2.0」「UEFI Secure Boot」「Credential Guard」「HVCI」「DNS over HTTPS」などの機能も利用できるようになった。
生成AI関連では「Amazon Bedrock AgentCore Runtime」が「stateful MCP server features」をサポートした。これによって、セッションをまたいだコンテキスト保持や、より柔軟な対話型処理の設計がしやすくなる。
データ基盤関連では、「Amazon Redshift」で「COPYコマンド向けテンプレート」が利用可能になった。頻繁に使うデータ取り込み設定を再利用しやすくなるため、運用手順の標準化や設定ミスの抑制に役立つ可能性がある。
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