クラウドストレージとはインターネットでドキュメントや画像、動画などのデータを格納したり、共有したりできるサービスだ。インターネットに接続していれば、ユーザーの場所を問わずファイルを保存、参照、共有できるので、社内外のコラボレーションを促進する(続きはページの末尾へ)。
クラウドストレージは、「場所を問わずファイルにアクセスできる」「社外も含めた資料の共有や共同作業に役立つ」「オンプレミスのシステムと比較して運用負担が少ない」といったクラウドサービスならではのメリットが注目されてきた。
コロナ禍をきっかけに、ファイルサーバの代替手段としてクラウドサービスを導入するケースも増えている。コロナ禍以前は、従業員は社内ネットワークに接続し、ファイルサーバを使って簡単にファイルの共有、保管ができた。しかしテレワーク体制へ移行した後は、自宅から直接インターネットにアクセスして仕事をするようになり、社内ネットワーク経由を前提とするファイルサーバのアクセス性や使い勝手に課題が生じるケースが出てきた。
こうした背景から、従来ファイルサーバが担ってきたファイルの保管や共有の役割を移管する先として、「Box」や「Dropbox」「Microsoft OneDrive」「Googleドライブ」などのクラウドストレージを導入する企業が増えた。
導入前に押さえておくべきポイントは、料金体系、ネットワーク、セキュリティ対策、データセンターの所在地などがある。
料金体系については、月額料金制である場合が多いが、1年間のサブスクリプション契約にもかかわらず、Webサイトの料金ページでは12で割って月額料金「相当」を表示しているものがあったり、初期費用が発生する場合があったりする。また、月額料金に加えて、年間契約プランの方がお得になったり、プランによって最少ユーザー数を定めている場合もあるので、自社に最適なクラウドストレージプランを探す前に、利用ユーザー数とストレージ容量の見積もりが必要だ。
ネットワークについて、クラウドストレージを安全かつ快適に利用するためには、安定したインターネット環境が不可欠だ。ただ、ネットワーク品質が悪い、またはない環境で作業することを想定して、オフラインで作業できる機能や、インターネット接続のタイミングでクラウドに作業内容を同期する機能などがあると安心だ。
セキュリティ対策については、セキュリティ認証を取得しているか、適切にアクセス権限の付与ができるか、監査ログを取れるかなど、サービスの用意するセキュリティ機能が自社のポリシーに沿っているかを確認する必要がある。また、従業員のセキュリティリテラシーを高める教育も重要だ。
データセンターの所在地については、外資系ベンダーが提供するクラウドストレージサービスを利用する場合、データの保存先が海外のデータセンターになる可能性がある。また、万が一の障害が発生した場合の可用性、サービスの稼働率などを保証するSLA(品質保証制度)はどうなっているのかも確認したいポイントだ。
ビジネス利用を前提としたクラウドストレージは、単にファイルの置き場所を提供するだけでなく、コラボレーション機能や文書管理機能、セキュリティ機能など、コンテンツ管理や活用にまつわるさまざまな機能を持つ。
単にファイルサーバの代替としての機能だけでなく、「全社規模でファイル共有を効率化するコンテンツプラットフォームの構築する」という観点から「組織内に存在するファイルコンテンツのライフサイクルをどう統合的に管理するか」「社内コミュニケーションをどう変えるか」といった視点をもってサービスの機能や将来性を比較検討するとよい。
製品名 | ベンダー名 | 特徴 |
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Box | Box Japan | 多くの企業が導入する法人向けクラウドストレージサービス。ユーザー単位の課金。ストレージ容量は無制限だが、1度にアップロードできるファイルサイズがプランによって異なる |
Dropbox | Dropbox Japan | コンシューマー向けサービスのイメージが強いが、法人向けのプランも提供。ユーザー単位の課金で、ユーザー数に応じてストレージ容量が増える |
OneDrive for Business | 日本マイクロソフト | Microsoft 365に含まれるクラウドストレージ。契約しているMicrosoft 365のプランに応じてストレージ容量が変わる |
Google Drive | グーグル | Google Workspaceに含まれるクラウドストレージ。契約しているGoogle Workspaceのプランに応じてストレージ容量が変わる |