Future of Work――マネーフォワード主催「MF Expense expo 2018」レポート(1/2 ページ)
企業人と社外を結ぶ「横のつながり」には、エンジニアの勉強会や異業種交流会、業界団体など多様なチャンネルがある。あらゆる業務にデジタル化の波が急速に押し寄せる中、会社の枠を超えて知識・経験を共有する必要性は、かつてないほどに高まっている。
そうしたトレンドは、これまで各社独自の手順を守る傾向が強かった「経理職」においても同様だ。ビジネス向けクラウドサービスを展開する株式会社マネーフォワード(東京都港区)は2018年9月7日、主に中堅・中小企業の経理担当者を対象としたイベント「MF Expense expo 2018」を都内で開催。数百人の参加者が詰めかけた。ITが金融と融合するフィンテックに業務が直結する経理部門は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入事例も数多い、いわば現在のオフィスの“最先端領域”。ここで何が起きようとしているのか、当日の模様をレポートする。
業務効率化の先にある自由。「RPA×フィンテック」経営者トーク
イベント冒頭では基調講演として、RPAホールディングス株式会社代表取締役の高橋知道氏と、株式会社マネーフォワード取締役で、マネーフォワードFintech研究所長の瀧俊雄氏によるトークセッションを開催。ここ数年来話題の的となっている「RPA」「フィンテック」をそれぞれ事業領域とする経営者の立場から、これらのテクノロジーが中堅・中小企業の管理部門と、そこで働く人々にもたらすインパクトについて語り合った。
【国内で過熱するRPAブームをどうみるか】
金融の世界をみていてもそうなんですが、やはり日本人の働き方は、すごく真面目。アメリカ人は10ある仕事を3だけやり、あとの7は引継書をつくって海外に投げ、自分は早く帰るというやりかたもしますが、日本人はきっちり10やる。日本のRPAで、この7のプロセスをどうするかに夢が膨らみますね。(瀧氏)
RPAは、環境によって使われ方に違いが出てきます。米国は業務のアウトソーシングが進んでいて、アウトソーシング専門の業者がRPAを使うことが多い。日本はそうした文化があまりなく、企業に業務がたくさん残っている。しかも、きちんと管理された現場で創意工夫できる環境があるので、それを生かした使い方をすることになります。(高橋氏)
瀧氏は、「外注」よりも「自己完結」を好む日本企業が業務効率を高める手段として、RPAが持つポテンシャルに期待を示した。「RPA」という言葉だけが一人歩きしがちな現状についても「私自身『フィンテック』という言葉を流行らせようと盛り上げてきた」とフォロー。「国の政策担当者が『ちゃんと予算を確保しよう』と思えるくらい過熱することは重要。能力のある、賢い人たちが淡々と取り組みを進めるフェーズがその後に来る」と語った。
高橋氏は、人手不足に対応する「働き方改革」の文脈から語られがちなRPAブームについて、国内と海外とでは業務に向かう姿勢に違いがあると分析。日本の企業で働く人は、現場多くの業務を残しており、その結果ほぼ誰でもロボットの“同僚”になりうる状況が生まれ、幅広い層からの関心につながっていると解説した。
【5年後・15年後、仕事はどう変わるか】
いまロボットの営業をしていて「仕事なくなるんじゃないの?」という質問を本当によくいただくんですけれども、これは仕事の定義の問題だと思っています。なくなるのは「作業」。仕事自体はより高度に、人にしかできないことにシフトしていくということだと思うんです。(高橋氏)
RPAは、人間が抱える面倒で煩雑な作業を肩代わりしてくれる存在だ。ただそれだけに、導入の検討にあたっては「いま働く人の立場はどうなるか」という点も気がかりになる。
元コンサルタントの高橋氏は、新たなテクノロジーが仕事に及ぼす影響について「例えば20年前のコンサルは図書館に出向き、1日がかりで資料をコピーしていた。『分析』で付加価値を出す前に時間がかかっていたのが、インターネットの登場でかなり短縮された」と解説。効率化で生み出された時間を活用して本質的な部分に集中することはあっても、仕事そのものはなくならないと説いた。
やはり日本は海外に比べて、比較的長く同じ会社で働きますよね。当然、同じような働き方がレガシー(「遺産」または「時代遅れのもの」)として受け継がれる。いいレガシーもあると思うんですけど、そうでないところを変えていければいいなと思います。(瀧氏)
瀧氏は、諸外国に比べ転職が少ない日本の雇用環境の中では、主体的に働き方を見直す機会が乏しいことを指摘した。さらに「スマートフォン片手に家電量販店を歩くと、画面を見ないうちから価格比較サイトに対抗した価格を店員が説明する」現象に注目。「スマホの普及以前、相見積もりがこれほど当たり前に取れることはなかった。消費者としてはそれだけ変化に接しているのに、働き方は変化していない。だからこそ余計に『未来の働き方』が語られているのでは」と持論を展開した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
レポート・資料
この記事の著者
こんなメディアも見られています
キーマンズネットに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Gemini Notebook」で始める「AI×自動化」実践ガイド
-
2
「パスキーはワナだ、使うな」にネット騒然 プロが“待った”をかけるワケ:902nd Lap
-
3
止まらない不正アクセス、広がる情報漏えい 大手企業・公的機関を襲った10事案
-
4
今、IT資格を取るならどれ? ランキングに見る「急浮上の資格」と「不動の資格」
-
5
48年も愛された名作CPU「Z80」を、引退に追い込んだ“抗えない事情”
-
6
「言い訳文化」から脱却のNECが足立区に伝授した生成AI活用術とは データ活用“逆算”の鉄則
-
7
大田区、年1000時間の問い合わせを「AI電話」で削減できるか? 実証実験で見えた課題
-
8
相次ぐ不正アクセス、でもセキュリティ訓練は「やりっぱなし」の悲惨な実態【企業調査】
-
9
Microsoftの“あのキャラ”がまさかの復活? 公式「X」乗っ取り事件の珍騒動:901st Lap
-
10
同業の被害で初めて気付く漏えい 「アラート不発」を起こす攻撃の正体
キーマンズネット SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
キーマンズネットをフォロー