メディア

通話料はどうする、音声系BYODの手法IT導入完全ガイド(2/2 ページ)

» 2015年10月28日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]
前のページへ 1|2       

専用のアプリによるFMCサービス

 ソフトPBX機能と専用のダイヤラーを連携させることで、法人と個人の請求を分けるだけでなく、内線電話としても活用することができるサービス。発信も着信も社内に設置されているPBXを介して行うことになり、仕事先にはPBXに設定された固定電話の番号が通知される。既存のPBXをソフトPBXに置き換える場合もあれば、社内にある既存のPBXと連携させることも可能だ。

専用ダイヤラーとFMCサービスの機能 図1 専用ダイヤラーとFMCサービスの機能(出典:エス・アンド・アイ)

 特徴的なのは、VoIP通話に加え、通常の携帯通話モードでも固定電話番号宛の着信をスマートフォンのネイティブダイヤラーで受けられる点だ。パスコードロックを解除する煩わしさもなく、着信を取る動作も変わらないで済む。また、独自技術により、PBXに設定された固定電話番号宛の着信をスマートフォンで受ける際も発信元の電話番号が通常通り画面に表示されるため、利便性を損なうことがない。

 一方、電話の発信には、コストや使い方を考慮した上でさまざまな選択肢が用意されている。特に通話料が発生する発信の場合は、PBXに対して電話をかける「コールフォワード方式」とPBXからスマートフォンに向けてかけ直してもらう「コールバック方式」の2種類がある。

 前者の場合はスマートフォン側にPBXまでの通話コストが発生するため、従来は主に固定回線と携帯回線を同一キャリア内定額に収めることができる会社貸与の端末に適していた。しかし最近では、掛け放題を含む基本料金プランが一般化してきたため、BYODにも有効だ。また、電話をかける操作がネイティブのダイヤラーと全く変わらない点もユーザーにとって利点である。

 後者の場合は、電話をかけるタイミングでパケット網を経由して制御信号をPBXに送信し、その信号を受け取ったPBX側が発信者へ折り返しながら受信者に電話をかけることになる。この場合、通話コストを固定電話のみの価格に抑えることが可能になる。これは複数キャリアが混在しても利用できるため、BYOD環境であっても使える仕組みといえる。また専用ダイヤラーを用いることで、法人と個人の請求を分けることも容易だ。

発信方法の違い 図2 発信方法の違い(出典:エス・アンド・アイ)

新たに登場した「かけ放題」を着信に利用する方法

 前述の通り、最近では各携帯キャリアの基本料金が「かけ放題」を含むプランに変わってきている。そこで、このかけ放題プランを着信に利用する方法も新たに登場している。

 このFMCサービスでは、客先から社内のPBXに着信があると、通常はPBXからスマートフォンに向かって電話をかける。この場合、スマートフォン側の料金は発生しないものの、固定回線とモバイル回線の同一キャリア内定額のサービスを企業として契約していない限り、PBXからスマートフォン宛の通話料金は発生してしまう。

 これを、事前にパケット網を経由して制御信号をスマートフォンに送り、スマートフォン側からPBXへ電話をかけることで、かけ放題の恩恵を着信時も受けようという仕組みだ。これは会社側の通話料金削減につながる方法であり、新たなサービスにうまく対応した仕組みだといえる。

かけ放題を発着信に生かす方法 図3 かけ放題を発着信に生かす方法(出典:エス・アンド・アイ)

コラム:BYODには向かない携帯キャリアのワンナンバー型FMCサービス

 実は他にも社内のPBXとキャリアが提供するPBXを連携させ、1つの番号で外線および内線電話の機能を提供するワンナンバー型FMCサービスというものも存在している。しかし、これはあくまで1つの携帯キャリアに全ての端末が集約できる場合。BYODのように複数キャリアが混在するような環境では使いにくいのが実態だ。

 以上、音声通話で法人と個人をうまく分けるための方法について紹介した。アナログな方法では、携帯キャリアから通話履歴を取り寄せ、仕事で使ったものだけを抽出して会社に請求するといった方法もあるが、とても手間がかかるのは筆者も体験済みだ。多くの方が個人と会社の携帯電話の2台持ちをしているケースが少なくないが、できれば1つの端末でうまく振り分けたい。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。