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無線LAN運用の負荷軽減を軽減する「クラウドWi-Fi」徹底解説(5/5 ページ)

» 2017年11月13日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]
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大容量化が求められるPoEスイッチ

 APに電源を供給する方法としては、AC電源を介して直接APに給電するパターンと、PoEスイッチからLANケーブル経由で給電する方法があるが、AC電源からの給電では工事の際にコストがかかるため、最近ではPoEスイッチでの給電が圧倒的に多い。

 PoEの規格は1ポート当たり15.4ワットの給電が可能な「IEEE 802.3af」や1ポート当たり30ワットの給電が可能な「IEEE 802.3at」などがあるが、次世代の規格として動いているのが「IEEE 802.3bt」と呼ばれるハイパワー版PoEだ。

 この規格では1ポート当たり90ワットとなっており、小型のサーバやネットワーク機器、サイネージ機器、監視カメラなどもLANケーブルから給電できるようになる。そうなれば、スイッチそのものの給電容量がキロワットを越えることも想定される。スイッチがネットワークのための機器から「給電システム」として大きな役割を果たす日もそう遠くない。APへの電源供給の方法についても、しっかりトレンドを押さえておきたい。

ボトルネック解消のマルチギガビット対応

 無線LANの高速化に伴って、有線側の通信速度も増強していく必要があるのは当然だろう。既に802.11ac Wave2では1.7Gbps対応となっており、有線側では1000BASE-Tから10GBASE-Tへの拡張が必要になりつつある。

 ただし、これまで利用してきたCat5eおよびCat6のケーブルでは最大でも1Gbpsまでしか伝送速度が出せない。10Gbpsの速度を実現するためには、Cat6A規格よりも上位のケーブルが必要で、全てのイーサネットを入れ替えなければならないケースもある。

 そこで2016年ごろから、10Gbpsへ移行する前に既存のケーブルでも2.5Gbpsや5Gbpsの速度まで拡張できる「IEEE 802.3bz(2.5/5GBASE-T)」が注目されており、多くの企業で検討が進められている。一気に10Gbpsへ移行できればそれに越したことはないが、既存環境を生かしながら伝送速度の改善を図る際に役立つものになるため、有線の伝送速度について課題を持っている場合はぜひ検討しておきたい。

加速するクラウド化

 これは無線LANに限った話ではないが、今ではサーバやストレージ、ネットワーク機器も含めた全ての環境が仮想化技術によって抽象化され、全てクラウドで管理することが可能なソリューションが市場に投入され始めている。

 特にネットワーク領域では、接続されている環境に応じて自動的に最適化を図る仕組みがエンタープライズ系のソリューションを中心に登場しており、スイッチやルーター、AP含めて情報を収集し、トラフィックそのものの意図を理解して動的にネットワーク構成が変更されるようになる。

 対してサーバ領域でも、HCI(Hyper Converged Infrastructure)を中心にストレージやネットワークが仮想化され、アプリケーションも含めてワンタッチデプロイ可能なソリューションが登場しつつある。SD-WANも含めてサーバとネットワーク双方が仮想環境で連携する世界もそう遠くないはずで、今後もAPのデプロイや日常的な運用管理の手法も変わることだろう。

これから増える位置測位のデータ活用

 無線LANにおけるトレンドの1つに、BeaconやWi-Fiの3点測量技術などを用いた位置測位の話題がある。オフィスでの活用はもちろん、工場など製造業向けや医療機関における医療機器管理などにも用いられており、いろいろな形で測位データをビジネスで有効活用しようという動きが出始めている。

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