ヴィーム・ソフトウェアは、マルチクラウド環境におけるバックアップとデータ保護を提供する「Veeam Availability Suite 9.5 Update 4」を発表した。ユーザー企業が直面する3つの課題を解決するという。
「オンプレミスにあった企業のデータが、どんどんクラウド側で管理されるという時代の変化に直面しています。データマネジメントというと『活用』の話が中心になりますが、マルチクラウド環境の中でしっかりとデータを管理する仕組みがあるかと聞くと、多くの企業ユーザーは『そこまでできていない』と回答します」
ヴィーム・ソフトウェアの古舘正清社長は、企業におけるデータマネジメントの現状をこう分析する。仮想化環境のバックアップを得意とする同社は、ユーザーが直面している課題として3つを挙げる。
1つ目はバックアップの在り方だ。システム単位あるいはサブシステム単位でバックアップが行われるケースが多い。古舘氏は「バラバラのツールで、バラバラの取り方で、バラバラの世代で、バラバラの戻し方でとバックアップに関する標準化が全くされていない状態です」と指摘する。この結果、データがどのような形で管理され、どのくらいの時間でレストアできるのかをしっかりと把握することが難しい。
2つ目はデータマネジメントの標準化ができていないことだ。企業のデータがどんどんクラウドで保管されるようになっているにもかかわらず、「データ管理はクラウドベンダーがやってくれるんじゃないの?」と考えているユーザーが多いのだ。これではハイブリッドクラウド環境におけるデータの移動はスムーズにいかない。
3つ目はセキュリティとコンプライアンスだ。例えば2018年5月に施行されたGDPR(EUの一般データ保護規則)はEU域内の個人データ保護を目的とした規則だが、日本企業にも影響を与える可能性が高い。古舘氏は、マルチクラウド時代を迎える今、あらためて考え直す時期に差し掛かっているという。
これらの課題に対応するために、同社はマルチクラウド環境におけるバックアップとデータ保護を提供する「Veeam Availability Platform」の最新バージョンとして「Veeam Availability Suite 9.5 Update 4」「Veeam Availability for AWS」などを発表した。
同時にデータ移動を柔軟に実現するための新ライセンス体系「Veeam Instance Licensing」も投入する。ワークロードが物理環境、プライベートクラウド、パブリッククラウドなどのプラットフォーム間で移動する際に、ライセンスも自動的に追従するインスタンスベースのライセンス体系だ。古舘氏は「ユーザーのクラウドシフトのお手伝いができる非常に大きなオファーだと認識している」とコメントする。
取り扱うデータ量は増え続け、コンプライアンス要件は厳格化する一方だ。企業はこれまで以上に長期的なデータ保持を求められるが、同時にストレージにかかるコスト増は悩みの種だった。
Veeam Availability Suiteの最新版は、Amazon S3などのオブジェクトストレージにネイティブ対応し、スケーラブルで低コストなストレージ環境を実現する。対象となるのはAmazon S3の他に、Azure Blob Storage、IBM Cloud Object StorageおよびS3互換のオブジェクトストレージだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。