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名刺管理ツールの利用状況(2022年)/前編

企業における名刺管理の現状を知るべく、「名刺管理ツールの利用状況」に関する調査を実施した。前編となる本稿では、名刺管理手法、ツール導入目的、ツールの便利な点や不便な点を紹介する。

» 2022年08月04日 07時00分 公開
[キーマンズネット]

 キーマンズネットは2022年7月13〜26日にわたり「名刺管理ツールの利用状況」に関する調査を実施した。本調査では企業における名刺管理の現状を知るべく、名刺管理手法、ツール導入目的、ツールの便利な点や不便な点などを調査した。前編となる本稿では、2020年の前回調査とは大きく異なる結果が明らかになった。

進む名刺の企業管理……最も使われているツールは

 はじめに名刺の管理手法について聞いたところ「名刺フォルダで物理的に個人管理している」(49.5%)が最多で、次いで「会社で導入している名刺管理ツールで管理している」(25.9%)、「スマートフォンアプリを使って個人管理している」(16.5%)と続いた(図1)。

図1:名刺の管理手法

 この結果を2020年10月に実施した同様の調査と比較したところ、物理的な個人の管理が8.7ポイント、スマホアプリを使った個人の管理が4.4ポイントそれぞれ減少した。名刺管理ツールによる企業の管理が10.7ポイント増加しており、この2年で名刺管理ツールの企業導入が進んだのが分かる。

 全体でも個人管理が79.1%から66.0%まで減少しており、現在はおよそ4人に1人が企業が導入した名刺管理ツールを利用している。利用ツールは「Sansan」が69.1%と過半数を占めており、「情報取り込みの手軽さ」や「CRM」(Customer Relationship Management)や「SFA」(Sales Force Automation)など関連ツールとの連携のしやすさが評価された。

見込み客の発掘から利用まで……一元管理の目的

 企業が名刺管理ツール導入で一元管理する目的は、名刺情報を活用した生産性の向上にある。一元管理の目的に関する調査項目でも「顧客データを効率的に管理するため」(81.8%)や「顧客情報を社内もしくは部署内で共有するため」(72.7%)が上位に挙がる(図2)。

 名刺情報をデータ化することで企業名や担当者の部分な情報を検索できるようにし、物理的な名刺管理で危惧されていた「長時間の探索」や「紛失リスク」を軽減できる。新たに登録された名刺情報を使って名寄せし、登録済みの部署名、役職、住所、電話番号などの情報を自動更新するツールもある。

 活用の幅を広げる例としては、「CRMやSFAツールなどと連携させ営業効率を向上させる」(21.8%)や「MA(Marketing Automation)ツールなどと連携させ、効率的なマーケティング活動につなげるため」(20.0%)が挙げられた。名刺情報から見込み客を抽出して自動でメール配信し、取引確度の高い見込み客を発掘する用途がみられた。名刺情報を資産として生産性の向上につなげるには、企業による一元管理及びツール活用は欠かせない。

図2:企業で名刺管理ツールを導入する目的

名刺管理ツール「便利な点」と「不便な点」

 最後に企業で導入している名刺管理ツールに対する「便利な点」と「不便な点」をフリーコメントで聞いたので、寄せられた回答を紹介する。

便利な点

 「名刺をスマホで撮影し登録すると、名刺を持ち歩かなくてもスマホで確認ができること」「外出先からスマートフォンで利用できること」といった、利便性に関する意見が挙げられた。

 他にも「名刺交換歴の有る企業の決算情報がタイムリーに見られること」や「同一人物の名刺を他の従業員が新たに受領、登録すると最新データに更新されること」といったコメントから分かるように、最新情報が受動的に入手できることをメリットに挙げる人も多い。

不便な点

 「コロナ禍で対面の商談が減り、紙の名刺を取得しなくなった。また名刺を入手してもテレワークで出社しないのでスキャン取込みをしなくなった」など、そもそも名刺交換の機会が減少したことや「専用スキャナーで取り込む必要がある。スマホ撮影でも取り込めるが、会社支給でないので業務で使いたくない」といった、名刺情報の取り込みに制限が生じており使い勝手が悪いなどの意見が寄せられた。

 他にも「どのような要件で会った人なのかを入力しにくい(担当者によっては全く情報を残していない)」や「交換した名刺を登録しない従業員もいる」といった運用面での課題も挙げられた。

 まだ課題も少なくない企業による名刺管理だが、冒頭で触れたようにここ2年で10ポイント近く導入率が増加しており、今後もこの傾向は続くと予想される。そこで後編では、減少傾向にはあるものの、現時点では多数派である個人での名刺管理に着目し、利用実態の調査結果を紹介する。

 なお全回答者数212人のうち、情報システム部門が25.0%、営業/営業企画・販売/販売推進部門が20.7%、製造・生産部門が14.2%、経営者・経営企画部門が8.5%などと続く内訳であった。グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

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