Microsoftは日々Teamsのアップデート情報を発表している。例えば、2019年4月には大規模グループ向けのメッセージングサービス「Microsoft Kaizala」をTeamsに統合すると発表した。Kaizalaは、電話番号だけで気軽に認証できるサービスで、モバイル端末での利用を想定している。主要ターゲットはファーストラインワーカー(店舗、流通、建設、製造、病院などの現場の最前線で活躍する従業員)で、統合が実現すればTeamsのターゲットを広げるきっかけになるだろう。
さらに先日は、日本マイクロソフトとソフトバンクが戦略的パートナーシップを結ぶことが明らかになり、8月1日付でソフトバンクがTeams向けに音声通話サービス「UniTalk」の提供を開始すると発表された。
UniTalkは、1人当たり月額800円(税別)で、Teamsから固定電話番号(0AB-J番号)を使って発着信できるサービスだ。ユーザーはオフィスでも外出先でもPCやタブレット、スマートフォンを使って、「03」「06」などの市外局番から始まる電話番号を使えるため、「顧客対応には常に固定電話番号を使いたい」というニーズにも応えられる。また、オフィスにおける固定電話機の設置や電話回線の引き込み、宅内工事が不要で、設備の運用や管理負担を大幅に改善できるとしているため、Office 365のエンタープライズ向けアカウントを調達するという条件をクリアできれば、小規模事業者の利用も考えられる。
Teamsは、容量や管理監査機能などに制限が付いた無料版を利用できる他、従業員規模300人以下を対象としたOffice 365のBusinessプランのうち上位プラン2つ、または大企業向けプランのうちOffice 365 E1以上のEnterpriseプランを契約すれば、活用可能だ。
冒頭で述べた通り、現在MicrosoftはSkype for Businessを500ユーザー未満で利用する企業に自動アップグレードを提供している。現時点では、500ユーザー以上の大規模テナントや、Skype for Business Online単体サービスを利用するテナントは対象外だ。自社が対象かどうかは、Microsoft Teams 管理センターダッシュボードで確認できる。今後、状況によって対象条件が変化しないとも言い切れないため、Skype for Businessを利用している企業は前もって切り替え準備を行うことも視野に入れたい。
また、現在Skype for Businessを利用している場合も、他社のコミュニケーションツールを利用している場合も、Teamsに移行して「チームにおけるコラボレーション」の効果を得るためには、従業員にツールを定着させる必要がある。春日井氏によれば、導入を成功させている企業は、営業やマーケティング部門など一部の部門で利用を開始して、戦略的に利用範囲を広げているという。まずはスモールスタートでTeamsを活用し、「この機能が便利」などとアドバイスできるような“インフルエンサー”が生まれると、組織全体にTeamsが浸透しやすい。
コミュニケーションツールを導入する多くの企業では、「従業員のリテラシーや理解に差があり、ツールが定着しない」「全員が使わないことで、ツールが乱立し、一定の効果を得られない」といった声が挙がるため、こうした悩みを抱える場合は「インフルエンサー戦略」を心に留めておくのもよいかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。