「チャットbot」とは、人が送信したメッセージに対して自動で応答するチャットシステムのことだ。「シナリオ」と呼ばれるあらかじめ設定された流れに沿ってユーザーと会話するものや、生成AIに必要な情報を学習させたものなど、さまざまな仕組みのものが存在する。
AI技術を活用したチャットbotは、ユーザーの自然文を理解し最適な回答を生成できるようになり、その応答精度も向上している。2011年の「IBM Watson」や「Siri」の登場以来、商業利用が増え、大手企業が顧客向けサービスでの問い合わせ応答の自動化を進めた。
近年は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進とともに、問い合わせ対応の工数やコスト削減、顧客体験の向上、非接触顧客対応の強化といった具体的な目的を持って導入する例が増えている。
活用シーンも多様化し、カスタマーサポートだけでなく社内ヘルプデスクでも利用のニーズが増えている。特にコロナ禍以降、テレワークの増加とシステム・制度変更により、社内ヘルプデスクの利用が増えており、問題の自己解決を支援するチャットbotが、作業負荷の軽減や新しい働き方に貢献するとの期待が高まっている。
。カスタマーサポートや社内ヘルプデスクなど、どのような用途でチャットbotを導入したいのかを明確化し、AI搭載の有無といったチャットbotのタイプ、必要な機能などを洗い出す。
目的が決まれば、チャットbotを設置すべき場所も絞られてくる。カスタマーサポートであれば、Webサイトや「LINE」などのメッセージアプリ、社内ヘルプデスク向けであればTeamsや「Slack」といったビジネスチャットに対応しているかを確認したい。
さらに製品選定の時点で、チャットbotで対応する問い合わせのボリュームを想定し、おおよその費用対効果が出るのかを計算しておくことも重要だ。
AIチャットbotは、ユーザーに利用されなければ回答率が上がらず、回答率が上がらなければ利用されない。導入時は利用率と回答率を上げることを念頭に、以下のステップを踏む。
対応する質問のボリュームと範囲を設定し、FAQリストを作成します。頻繁で定型的な問い合わせをターゲットにすることで、正答率や利用率を高めることができます。
「地方」と「田舎」のような類似語や未知の単語を辞書に登録し、チャットbotが質問の意図を正しく理解できるようにします。
チャットbotへのユーザー誘導を計画します。Webサイトや電話からユーザーをチャットbotに誘導することで利用率を上げます。チャットbotで解決できない問題は、電話や有人チャットに引き継ぐことも重要です。
以上の工程を経ることで、AIチャットbotのパフォーマンスを最大化し、ユーザー体験を向上させることができます。
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