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「生成AI」の事例、比較、解説記事を総まとめ

「生成AI」に関する最新情報を紹介します。IT担当者やITを活用したいビジネス/バックオフィス部門の担当者に、役立つ製品・サービス情報や導入事例、業界動向を集めました。

「生成AI」とは

 生成AIとは、AI(人工知能)の中でも「『予測』や『提案』『決定』にとどまらず、画像、文章などを生成する」(総務省、経済産業省)機能を持ったものを指す(総務省、経済産業省の『AI事業者ガイドライン』より)。

 中でもテキストの入出力に特化した大規模言語モデル(LLM)は汎用性が高く、複雑なAIシステムを構築する際の中核に据えられることも多い。ユーザーはLLMに「プロンプト」と呼ばれる指示を入力し、生成AIから成果物を引き出す。

 「ChatGPT」をはじめとしてさまざまなサービスがリリースされており、企業での導入も進んでいる。

※本ページの末尾で、生成AIの種類、導入時の選定ポイント、利用に伴うリスク、主要製品の特徴についても解説しています。

生成AIサービス導入時の選定ポイント、利用に伴うリスク、主要製品の比較

生成AIサービスの種類

 生成AIを利用したサービスは生成するコンテンツの種別によって幾つかの種類に分けられる。本稿ではその中でもテキスト生成AI、画像生成AI、動画生成AIについて解説する。

テキスト生成AI

 テキスト生成AIは、ユーザーの指示に従って文章やソースコードなどを出力するシステムだ。

 企業においては、社内資料などの文書作成、顧客や社内向けのチャットbot、外国語の資料やコンテンツの翻訳、プログラミング、アイデア出しなどに使用される。ベネッセは社内向けの対話型生成AIの開発やコンタクトセンター業務の効率化にテキスト生成AIを利用している

画像生成AI

 画像生成AIは、生成AIの中でも画像の出力に特化したものを指す。

 企業においては、Webサイトや資料に掲載する画像の作成、製品デザインのモック作成などに使用される。ファッションブランド「COACH」や「kate spade」を展開するTapestryは2024年3月、製品のデザインに画像生成AIを活用していることを発表した

音声生成AI

 音声生成AIは音声の出力に特化した生成AIだ。

 企業においては、動画や音声での原稿の読み上げ、顧客向けのアナウンスなどに使用される。日本放送協会(NHK)は一部のニュースを「AI自動音声」で読み上げている

動画生成AI

 動画生成AIは、テキストや既存の画像、動画から新しい動画を生成するシステムだ。

 企業においてはCMの制作などに利用される。KDDIは2023年12月、生成AIが既存のCMをアニメーションにリメイクした動画を公開した

生成AIサービス導入時の選定ポイント

 時代の流れに合わせて生成AI関連のサービスの導入を検討している企業も多いだろう。焦って導入を進めるのではなく、以下のポイントに沿って、自社の要件に合った製品を導入することが重要だ(注)。

  • そのAIソリューションはビジネス上の課題を解決できるか
  • そのAIベンダーは実績を提示できるか
  • そのAIソリューションは倫理的で信頼できるか
  • そのAIベンダーは導入後も継続的なサポートと改善を約束できるか

注:その生成AI、本当に必要ですか? 冷静な製品選定に必要な4つの観点(ITmedia エンタープライズ)

 そもそも、事業の役に立たないのであれば生成AIサービスを導入する必要はない。導入の目的を明確にした上で製品を選定するべきだ。また、後述するように生成AIの利用にはさまざまなリスクが伴う。倫理的に信頼できる製品やベンダーを選ぶことも重要なポイントになるだろう。

生成AIの利用に伴うリスク

 経済産業省と総務省がまとめた『AI事業者ガイドライン』によると、AIの利用には以下のようなリスクが伴う。

  • 人間の意思決定や感情の操作
  • 偽情報、誤情報、偏向情報の拡散
  • 偏ったデータを学習することで生じる、特定の個人や集団に対する偏見や差別
  • 個人情報や機密情報を含んだデータを学習することで生じる、プライバシーの侵害や情報漏えい

 デジタル庁の『テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック』によると、上記のリスクに加えて、テキスト生成AIの利用によって以下のようなリスクが発生する。

  • テキスト生成AIの回答品質が期待を下回る
  • 特定の資格を必要とすることが法令で定められている作業をAIに代替させてしまう
  • テキスト生成AIの構築、運用費が費用対効果に見合わない

 これらは政府情報システムにおけるテキスト生成AIの適用可能性において挙げられたリスクだが、一般企業の利用においても同様のことが言えるだろう。

 生成AI関連のサービスを導入する際は、これらのガイドラインを参照しつつ、自社の従業員や顧客に対するリスクが最小限になるよう、業務への適用範囲の見直しやデータガバナンスに配慮したシステム開発などが求められる。

主要サービスの特徴を比較

 主な生成AI関連のサービスの特徴は以下の通りだ(利用料金やサービス名は2024年7月現在のもの)。

SaaSとして利用できる生成AI

製品名 ベンダー名 特徴
ChatGPT OpenAI OpenAIが開発した生成AIサービス。無料版、月額20ドルの個人向け有料プランに加えて、チーム、企業向けプランも提供している。Webアプリやスマートフォンアプリとしての提供の他、組み込み用のAPIもある
Claude Anthoropic OpenAIの元従業員が中心となって立ち上げたAnthoropicが開発した生成AIサービス。有料プランは月額20ドル。ChatGPTと同様、APIも提供している
Gemini Google Googleが開発した生成AIサービスの総称。対話型AIに加えて、Google WorkspaceやGoogle Cloudにおける生成AI機能にも同名称が用いられる。料金体系はそれぞれのサービスによって異なる。個人向けの対話型AIは月額2900円で利用可能

自社専用の生成AIを開発するためのサービス

製品名 ベンダー名 特徴
Azure OpenAI Service Microsoft OpenAIのLLMを「Microsoft Azure」(以下、Azure)で利用できるサービス。Azureのセキュリティ機能を利用しながらOpenAIのAPIを使用できる
Vertex AI Google Googleが提供するAIアプリケーション開発プラットフォーム。Googleが開発したLLMに加えて、AnthoropicやMetaなどのモデルも利用できる
Amazon Bedrock Amazon Web Services(AWS) AWSが提供するAIアプリケーション開発プラットフォーム。AmazonやAnthoropic、Meta、CohereなどのLLMを利用できる
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