ワークフローとは、業務の流れを指す言葉だが、主に申請、承認の業務プロセスを自動化、効率化するためのソフトウェアである「ワークフローツール」を指す場合がある。
ワークフローツールの主な機能は、申請書類のフォーマットを作成する機能と、複数の社内関係者を含む承認フローを設定する機能だ。企業の承認ポリシーや商習慣に合わせた柔軟な管理ができることが望ましい。「Microsoft Excel」(以下、Excel)で作成した申請書をアップロードすることで、Web申請フォームを再現できるツールなどもある。
スマートフォンやタブレットでの動作に対応していれば、テレワークや出張中でも業務を進められる。また、申請の承認や変更があった際に自動的に通知が届く機能により、急ぎの承認が必要な申請にも遅延なく対応できる。
ワークフローツールを導入することで、ペーパーレス化が促進され、文書の保管と管理が容易になる。また、業務プロセスの自動化により、冗長な手続きが削減され、より価値の高い業務に時間を割けるようになる。業務プロセスのデータが可視化され、リアルタイムの情報に基づいた迅速かつ正確な意思決定も可能になる。
ワークフローツールを活用することで、作業の透明性が増し、適切な承認フローが保証される。これにより、組織の内部統制が強化され、法令順守やリスク管理につながる。
企業のIT担当者がワークフローツールを選定する際は、既存システムとの連携やユーザーインタフェース、カスタマイズ性などを考慮する必要がある。また、導入後のサポート体制や、将来的な拡張性についても検討しておきたい。
まず、既存のグループウェアにワークフロー機能が備わっている場合は、積極的に利用を検討したい。工夫次第では新しい製品を導入せずともワークフローを構築できる可能性があるが、追加のアドインを購入するなどの対応が発生することもあるので注意してほしい。
長期的な運用を想定すると、GUIで簡単にワークフローを構築できたり、Excelの申請書から申請フォームが作れたりといった機能は重視すべきだ。
ユーザーの利便性につながる機能も重要だ。スマートフォンなどのマルチデバイスに対応していれば、どこでも申請、承認できる。申請書が起票されると「Microsoft Teams」や「Slack」で通知し、それらのツール上で承認できる製品もある。
新しいワークフローツールを導入する際には、社内教育とチェンジマネジメントが欠かせない。IT担当者は、ユーザーへの説明会の開催や、マニュアルの作成、ヘルプデスクの設置など、社員がスムーズに新システムを活用できるようサポートすることが求められる。また、旧来の業務プロセスを見直し、ワークフローツールを最大限活用するための業務改革も必要だ。
ワークフローツールから得られるデータを分析し、業務効率化や意思決定の改善に役立てることが重要だ。IT担当者は、データ分析ツールとの連携や、レポート作成などを通じて、経営層に有益な情報を提供することができる。また、システムの安定運用やセキュリティ対策、バージョンアップなども、IT担当者の重要な役割となる。
製品名 | ベンダー名 | 特徴 |
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サイボウズ Office | サイボウズ | ワークフロー機能を備える、中堅・中小企業向けのグループウェア。同社の「kintone」や「Garoon」でもワークフローを構築可能 |
X-point Cloud | エイトレッド | さまざまな企業で導入されているクラウド型ワークフローツール。紙の帳票を再現したWebフォームを作成可能 |
intra-mart | エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート | 国産のローコード開発プラットフォーム。ローコードのワークフロー開発ツールを備える |
desknet's NEO | ネオジャパン | 中堅・中小企業や官公庁向けのグループウェア。クラウド版とパッケージ版を提供 |
HCL Notes/Domino | HCLジャパン | 多くの企業が導入してきた「Notes」は現在、HCLが提供している。電子メールやカレンダー、開発環境などが実装された「Dominoサーバー」を導入することで、Web上でもNotesアプリケーションを稼働できる |
Microsoft 365 | 日本マイクロソフト | Microsoft 365でも、ローコード開発プラットフォーム「Power Platform」などを利用することでワークフローを構築可能。専用の製品ではないため自社の要件に合ったワークフローを開発できるか要確認 |
Slack | Slack Japan | Slackでも「ワークフロービルダー」機能を使えば、簡単なワークフローをノーコードで構築できる。こちらも専用の製品ではないため自社の要件に合ったワークフローを開発できるか要確認 |
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