クラウドERPはカスタマイズをして利用することを前提としていないため、オンプレミス向けのパッケージと比べて企業独自のカスタマイズやアドオンによる拡張が難しい点はあらかじめ認識しておきたい。
従来はERP自体を自社の業務にフィットさせることが重視されたため、アドオン開発などで運用開始までに時間とコストがかさみ、またバージョンアップ対応などの際に自社開発部分の改修コストがIT予算を圧迫することも多かった。クラウドERPではバージョンアップはベンダーの責任で実行され、そもそもアドオン開発を前提にしていない。サービスの機能を利用する分には追加コストの心配なく、契約した機能を利用し続けられるのが大きなメリットだ。業種や業態により独自の業務にERPを適用させたい場合は、各ベンダーが検証済みの連携サービスやアプリケーションが公開されているので、まずはそのリストをチェックし、ベンダーに相談するといいだろう。
その他、選定時の主な注意点は以下の通りだ。
製品名 | ベンダー名 | 特徴 |
---|---|---|
SAP S/4HANA Cloud | SAPジャパン | 世界でも多くの企業が採用するクラウドERP。大企業向けの印象が強いが、さまざまなプランが用意されており中堅・中小企業でも採用が進む |
Oracle Fusion Cloud ERP | 日本オラクル | 大企業を中心に導入されているOracleのクラウドERP。同社のデータベースやクラウド製品との連携が特徴 |
Oracle NetSuite | 日本オラクル | 「Oracle Fusion Cloud ERP」と並行して提供されている中小企業向けERP |
Microsoft Dynamics 365 | 日本マイクロソフト | Microsoftが提供するクラウドCRM/ERP。Microsoft 365をはじめとした同社の製品との連携が特徴 |
HUEシリーズ | ワークスアプリケーションズ | ワークスアプリケーションズが提供する国産ERP。日本の大手企業で必要とされる要件を標準機能として盛り込んでいるのが特徴 |
GLOVIAシリーズ | 富士通 | 古くから基幹システムを提供する富士通の国産ERP。大企業向けから中堅・中小企業向けまでさまざまな製品がある |
以下はキーマンズネットで掲載している、ERP製品の比較に関する記事だ。製品選定にぜひ役立ててほしい。
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